ライヴのセットリストを組むというのはまさに「適材適所」を考えることであって、中でも、最も苦心するのが一曲目で、俺も色々と試行錯誤を重ねたのだが、結果、『綺麗な動物』という組曲が誕生するにあたって、序曲の座を射止めたのはこの曲だった。
イントロのギターは音を鳴らしている部分以上に、音を鳴らしていない「間」の部分に意味がある。間の部分の緊迫感が照明の暗転と相まって、前のバンドが終わって散漫になっている客の注意力をグイッとステージ上に呼び戻してくれる。そして、さっきまでざわついていた客席がシンと静まり返る。
客が静まり返ったのを合図に、イントロと同じコード進行から間を取っ払った音の塊を叩きつけて、組曲の開演を告げ、歌い始める。
メロディーは俺が最も得意とする、俺だけがビートルズっぽいと思い込んでいるタイプのもの。また、短い曲ながら展開が緩急に富んでいて、動と静がせわしく交互するので、冒頭の緊迫感を持続させたまま、気分を高揚させていくことができる。
組曲の序曲としてこれ以上の曲はないし、何度やっても飽きないし、この曲を書いて本当に良かったと思っている。