愛を感じて

バニーさんのワンマンライヴを観てきた。

23曲。2時間弱のステージ。素晴らしかった。

やっぱり、バニーさんの音楽の軸にあるのはストーンズだと思った。ラフでルーズでブルージー。そこにディラン的な詩人のムードが漂っていて、言葉が、日本語が沁みてくる。

バニーさんに比べると俺の音楽は輪郭がはっきりしているなと思った。俺の音楽には、バニーさんの音楽にあるような「輪郭はアンタらが自由に思い描いてくれ」というのがない。俺の音楽にあるのは「これが輪郭だ」だ。輪郭を聴き手の自由に任せる–やってみたいけど、俺にはできない。俺がやったら、ラフでもルーズでもなく「雑」とか「下手」とか言われるのがオチ。ラフ&ルーズは難しい。

会場に流れていたBGMはバニーさんが作ってきたものだった。バニーさんが好きなアーティストの曲が次から次に流れて、それは清志郎だったり、ポール・ウェラーだったり、プライマル・スクリームだったりしたのだが、バニーさんがステージに立って、いよいよライヴが始まるという段になった時、一際大きな音で流れたのはやはりストーンズだった。

ステージに立ったバニーさんが着ているTシャツには、キース・リチャーズの顔写真がプリントされていた。


ハイライト

昨日12月6日は亡き親父の69回目の誕生日だった。

ストーンズのベロみたいなもので、親父といえばこれ、ハイライト。「誕生日ぐらい吸いたいもん吸いなはれ」と言って供えて手を合わせた。

恐ろしくストイックな画家だった。

「ものつくり(芸術家)として生きろ」という言葉。親父から言われた言葉で息子として守っているのはこの言葉だけ。あとは知らん。知ったこっちゃない。

親父は黄色が好きだった。実際、ゴッホの「ひまわり」みたいな人で、つまりは太陽のような人だったのだが、いかんせん息子は赤が好き。限りなく黒に近い赤が好きで黄色が大嫌い。

いかに激しく燃えたとて太陽にはかなわない。わかってる。それを重々承知の上、赤く、熱く、生きていきたい。


横と後ろから

前記事に登場した「旧友」というのは他でもない、現在、我が海賊ライチrecordsでサウンド・エンジニアを担当してくれているDr.Fの事なのだが、彼が今、マスタリング作業に当たってくれているのはalphabet’sの音だけではない。並行して、新しいライヴ盤『DABADA TV SHOW』にも手を施してくれており、二つの作業が完了したら二つを同封して、俺の元に届けてくれる手筈となっている。これはつまりどういう事かというと、同じ日、同じ時間に、過去の自分と現在の自分がやって来るという事なのである。

スピーカーにせよヘッドホンにせよ、左右から来る音を聴くことには慣れているが、横からだけではなく後ろから来る音を同時に聴くのは初めての事だ。


alphabet’s再結成!?

「発掘映像」とか「発掘音源」って、俺にはまだまだ無縁だと思っていたのだが、この度、俺がかつて在籍した3ピースバンド『alphabet’s』が16年前に扇町dice(現・扇町para-dice)に出演した際の映像が発掘された。旧友が保管してくれていたのである。

バンドが扇町diceに出演したのは後にも先にも一度だけ。まだ結成して間もない、ライヴ活動を本格化し始めた頃だった。1度しか出演しなかったのはドラマーが「ステージから客が見えない」と言い出したからなのだが、個人的にはその意見に「?」だった。

バンドはライヴの度に映像を撮っており、一人一本ずつテープを所有していた(そのほとんど全てが劣化、紛失などの理由から現存していない)。その、当時最新の一本を自分の手元に残さず旧友に渡したのだから、よほど自信があり、観てもらいたい一本だったのだろう。

今回発掘された映像は、旧友によってまさかのマスタリングが施されて(写真はその作業風景)DVD化され、近日中に俺の手元に届くことになっている。

バンドの自己評価よりも周りからの評価の方が高かったalphabet’s。現実的には99.9%実現しない再結成だが、この映像をある種の再結成だと捉えて、再検証してみようと思っている。


『DABADA TV SHOW』解説

1.伊丹DABADAで逢いましょう

カットした1曲目「未来へ」の最後のコードがEで、この曲の最初のコードがE7なので、間を空けずに繋いで、一気になだれ込んだ。この曲はいつも通り、英語のようで英語でない英語でメロディーを作って、後から日本語詞に置き換えて完成させたのだが、たまにその日本語詞をまた英語のようで英語でない英語に戻して口ずさむことがある。そのたびに良いメロディーだなあ…と自惚れる。

2.バンドマン・ロック

24歳の時に書いた曲。ライヴでは久々に披露した。一部、歌詞を間違えて歌っている。「あらゆる偶然、いわゆる奇跡」と歌うべきを「いわゆる偶然、いわゆる奇跡」と歌ってしまっているのだが、歌詞を間違えるなんて日常茶飯事。この程度のミスは痛くも痒くもない。

3.果物をてんこ盛った巨大なケーキ

今のところ、ギターにカポをはめるのはこの曲のみであるから、俺がおもむろにカポを取り出したらこの曲が始まるサインである。間奏前に「イェーッ!」と叫ぶ俺の目の前にいるのは同じタイミングで俺に向かって「イェーッ!」と叫ぶ我が奥さんであり、それを見てワチャワチャ盛り上がっていたのは我が奥さんと同じテーブルを囲んでいたボーカルグループぱあるの皆さんなのであった。

4.バタフライ

いまだかつて一度もセットリストから漏れたことがないが、今回はライヴ当日、それも「果物を〜」を歌い終えるまで演るつもりのなかった曲。急遽これを演ることによって初めて35分の持ち時間に8曲演ることになったのだが、トータルタイムはまさかの28分弱。これは、最近の俺の曲がいかにコンパクトにまとまっているかということの証であって、嬉しい限りである。

5.グラサージュ

初披露の新曲。中盤の「君は友達、負け犬じゃない」の所でこみ上げてくるものがあって難儀した。これを聴いてもなお、俺をメロディーメーカーとして認めない人がいたら、それはもう完全に耳が腐っている。

6.ストーカー

演奏を始める前に俺が指差しているのは、小1からの友人Kやんである。この曲はバンドじゃないと再現できないと思い込んでいたのだが、Kやんからのリクエストに応えて、あえて一切練習をせずに(この曲は練習したらアカンのだ)、本番に臨んだ。「ストーカーって行動はアカンけど気持ちはわかる。誰だってホンマに人を好きになったら気持ちはストーカーみたいなもんやろ」という、昔、うちの親父がふと漏らした言葉が曲の題材となっている。

7.アニマ hold me tight

22、3歳の時に書いた曲だが、歌詞が変化し続けて、最終的に完成したのは今年のことである。昨年から佐野元春に傾倒。曲に「語り」を挿入するというテクニックに興味を持つようになったことが功を奏して大きく化けた。「アニマ」というのは「男性の中の女性性」という意味の心理学用語で、アニマの存在に気付いて抱き締めてもらうことができれば自分はもっと強くなれる。生き残れる。生き残りたい!と歌っている、説明しないと誰にも分からないし、説明しても誰にも分からない曲。


YouTube擁護論

音楽やってる人が「YouTubeは音が悪いから嫌い」みたいな事を言ってるのをたまに聞く。そういう人に限って検索すると何本も映像が出てくるんだけど…。

「音が悪いから嫌い」か…。音が悪いからこそ良いんじゃないかと俺は思うんだけどな。「実際はどんな音を出してるんだろう」という想像の余地を残せて。もし、音がめちゃくちゃ良かったら俺は利用しないと思う。そこで全てを出すのはもったいないから。

YouTubeはあくまで映像。本当に聴かせたい音は音源を作って聴かせればいいし、生の臨場感を味わわせたいのならライヴで食らわせればいい。ただ、音源を聴いてもらうにも、ライヴを観に来てもらうにも、自分の存在と音楽を知ってもらわないと話にならないから、不特定多数の人たちに向けて名刺代わりに映像を配信するのは有効な手段だと思う。実際に、ライヴ会場で初対面の人に「YouTubeの映像全部観てきました!」と言ってもらった事があるけど、なんと嬉しかったことか。

だいたい、タダで利用させてもらっておきながら音が悪いもヘッタクレもない。図々しいにも程があるよ。


PAINT IT,WHITE〜白くぬれ!〜

オシャレな人がオシャレに見える最大の理由は「オシャレに気を遣っている感」が出ているからで、ダサい人がダサく見える最大の理由は「オシャレに気を遣っている感」が出ていないから。基本的には、ただそれだけの事だと思う。

映像にも音源にも「オシャレに気を遣っている感」は必要不可欠。撮影したものを撮影したままの状態で出す、録音したものを録音したままの状態で出すというのは、「人は外見じゃない。中身の問題だ」といい歳をして大きな声で言っているのと同じくらい間抜けな事。音源を発表するのなら、音質はもちろん、ジャケットのデザインも物凄く大事だし、ネットに映像をアップするのなら、同じような映像が続いていないかとか、ズラッと並ぶ映像の表紙(サムネイルとかいうやつ)のコントラストはどうかということにも気を遣うべきなのではなかろうか。

手抜きなのか手抜きでないのか。あえて手抜きなのかただの手抜きなのか。「感」は醸し出すもの。

絵の具で絵を描くとする。背景が白だからといって画用紙の白をそのまま使うのがダサい人で、画用紙は確かに白だけど、そこにちゃんと白い絵の具を塗るのがオシャレな人なんだと思う。


シャボン玉と風船

実はすでに新しいライヴ盤の制作に取り掛かっている。内容はもちろん、前回のライヴの模様を収めたもので、タイトルは映像同様『DABADA TV SHOW』でいこうと思っている。映像の方ではカットした「未来へ」を収めた8曲入りコンセプト・ライヴ・アルバムだ。

ところで、ソロで活動している人の中には、月に5回も6回もライヴをしている人がいるけど、俺は2、3ヶ月に1回のペースで十分だと思っている。その代わりに、その1回のライヴを大切にしていきたい。1回のライヴから映像とか音源とか、収穫できるものは全て収穫して、収穫したものを「種」として撒いて、一人でも多くの人に自分の存在と音楽を知ってもらって、次のライヴ、次の次のライヴの盛り上がりに繋げていきたいと思っている。

小学校の卒業式で、一人一個、紐にメッセージと花の種を結び付けた風船を持ち、一斉に飛ばした覚えがある。「誰か拾ってくれるかな」と思いながら、自分の風船が飛んでいくのをずっと見つめていた。

ライヴは「記録」という事をしないと、あれよあれよと消えていく。シャボン玉みたいに。でも、記録すれば風船になり、記録したものを形にして「作品」として世に送り出せば、メッセージと花の種を搭載した風船になる。

俺はいつも、100個のシャボン玉より10個の風船を飛ばしたいと思っている。


DABADA TV SHOW

https://youtu.be/9z2P9-wesdI

https://youtu.be/Mk3EfRUAfks

伊丹DABADA撮影による先日のライヴの模様を、前半の「side A」と後半の「side B」に分けて公開(当日、1曲目に演った「未来へ」は容量の都合上カットした。この曲はすでにライヴ映像があるし問題なかろう)。

伊丹DABADAが『DABADA TV SHOW』というTV番組を持っていて、そこで俺のライヴ映像がオンエアされた…という妄想、想定を楽しみながら作った。

是非、ボリュームを最大にして、酒を飲みながら観て欲しい。

ロッケンロー!!


ドレスコード

以前、「俺のライヴを観に来てくれる人は何でも良いから赤いものを着用して来て欲しい」という、いわゆる「ドレスコード」のお願いをしたが、やはり赤という色は主張が強く、人によって似合う似合わないがあるから難しいと判断。代わりにこの和田怜士及び海賊ライチの象徴とも言えるデザインの缶バッジを配布して、俺のライヴを観に来てくれる人達に身に付けてもらえればと思っている。小さいけどインパクトは十分。すでに何人かの手には渡っており、ライヴの度に身に付けてきてもらっているが、いかんせん、8個しか作らなかったので、この度、さらに5個作った。

現象。うねりのようなものを生み出したいと思っている。その為に一番大事なのはもちろん、アーティストとしての自分自身のクオリティだと思っている。が、自分一人の力だけで何とかなるとは思っていない。そこまで図に乗ってるわけじゃないし楽天家でもない。海賊ライチのスタッフのようにそれぞれの特技を活かして具体的に力になってくれる人達も必要(現在、PCに強い動画担当のスタッフを募集中)だし、ライヴがお客さんと一緒に作るものなのだということを思えば、お客さんの強力な支持も必要不可欠だと思っている。

ムーブメント。うねりのようなものを生み出すには、自分と自分を取り巻く人達が同じ方向を向かないといけない。その為に何か一つ、皆に共通の証のような、それこそドレスコードのようなものが欲しい。その役目をこの缶バッチが担ってくれればと思っている。

音源同様非売品。「力を貸して欲しい」という気持ちを込めて、力を貸して欲しい人にタダであげる。「お前の力は貸していらん」という人には、「売ってくれ」と言われてもやらん。