組曲『綺麗な動物』解説〜⑤紙吹雪舞う

ここで「紅一点」とも言うべきバラードが登場する。

20歳の時に書いた曲で、昨年、歌詞を一新して復活させたのだが、アレンジは20年前のまま一切手を加えていない。

サビの、Cから下がっていって、Am、Gという流れは、UKロック好きのソングライターなら一度はやってみたい定番かつ必殺のコード進行なんだけど、定番かつ必殺だけにめちゃくちゃセンスが問われるので、やる以上は名曲に仕上げねばならないから名曲に仕上げた。

注目すべき点はメロディーだけではなく歌詞の中にもある。③『バタフライ』で自分のことを「ブザマなバタフライ」と言っていた主人公が、この曲の中では「僕はただのバタフライじゃない」と言っている。

「開き直りによる自己解放のススメ」みたいな歌詞になっている。開き直ることによって自分で自分を解放してあげた時に降ってきたもの。それが紙吹雪で、PVでは、その紙吹雪の役を数々のレコードジャケットが担ってくれているのだが、よく見ると、画面左上に河合奈保子と薬師丸ひろ子のシングルジャケットが並んでいるのがわかる。

はずしたかったけど、スタジオのおっちゃんに怒られるからはずさなかった。


組曲『綺麗な動物』解説〜④果物をてんこ盛った巨大なケーキ

ここまでの3曲を聴いて「こいつひょっとしたら、ま、絶対違うと思うけど、割と頭の良い奴なんじゃないか?」と勘ぐってくれた人がいたとしても、ここで「やっぱりただの馬鹿だったあ!!」と叫んで桂文枝ばりに椅子から転げ落ちることになるに違いないとにかく明るい曲。

子供でもわかるメロディーと歌詞。でも、これを組曲の真ん中に持ってきているところが、俺が馬鹿は馬鹿でもただの馬鹿ではない所以。

この曲は、この曲にしかない魔法がある。

普段、そんなに音楽を聴かないであろう人たち。音楽について全くと言っていいほど知識がなく、ライヴハウスに足を運ぶことなんて年に一度もない、ただの付き合いか何かで偶然その場に居合わせた人たちが笑顔を浮かべて手を叩いたり身体を揺らしたりしてくれているのをステージ上から眺めることの幸せを味わわせてくれるのがこの曲。だから、この曲を歌ってる間だけ、俺、ニコニコしてる。そして、この曲で弾くギターのみ、「ロック」ではなく、「ポップ」を意識してる。

要するにギターポップですな。


組曲『綺麗な動物』解説〜③バタフライ

過去13回のライヴでこの曲をやらなかったのは僅かに1回。最初回、塚口の居酒屋でやった時のみ。従って、この曲は特に磨きがかかり、味が出てきていて、いまや俺の代名詞的存在となった。ある人は、この曲の冒頭のアルペジオを聴いた時に、和田怜士のライヴを観に来ていることを実感すると言っていた。

毎回欠かさずやっているというのは、俺の中にもこの曲は特別だという意識があるから。また、俺にとって特別な生き物が蝶で、特別な色と言えば赤なので、この曲をやる時の照明は徹底的に赤にしてもらいたいとライヴの度に必ず照明のスタッフに願い出ている。

メロディーについて言えば…これは極めて個人的な感覚なんだけど、俺史上初めて、ギターコードの表面の音ではなく、裏側からメロディーを拾った曲だと思っている。

わかるかな〜。わっかんねえだろうな〜。イェーイ。by 松鶴家千とせ


登場!マルちゃん

職場のおっちゃんから譲り受けた。

50年前、ハワイアンバンドで弾くために月給をはたいて買った非常に思い入れのある品だそうで、ずっと後継者を探していたのだそうだ。

ケースを開けた瞬間、腰を抜かしそうになった。fホールで、ケツがデカくて…まさに俺の「タイプ」だったのである。

磨いて、弦を張り替えて、ガイーン!とやったらどデカい音が出て、うちの奥さんが隣の部屋に避難した。避難しながらも、「ええ音!」と言った。

おっちゃんへの最高のお返しはこのギターをライヴで使うことだと思うから、ベストな弾き方を習得したら(ピックアップを付けるべきか否かとか色々と検討中)使い倒してやろうと思っている。

俺はいつもギターに名前を付ける。「マルハ」というメーカーのギターなので「マルちゃん」と名付けたが、音は全っ然マルちゃんではない。


組曲『綺麗な動物』解説〜②綺麗な動物

組曲の軸となる表題曲であり、いわば組曲に組み込まれた組曲であって、この曲自体がいくつかの曲の断片を繋ぎ合わせて成り立っている。この曲がなかったら、7つの曲をひとくくりにして一つの作品にするという発想は閃かなかったと思う。

FLOWERS IN〜がフェイドアウト気味に終わったところへ間髪入れずにニルヴァーナ調のギターリフを叩きつける。でも、ニルヴァーナ調なのは曲の冒頭と終わりに出てくるギターリフだけで、メロディーは柔らかくせわしなくあちらこちらへ動き回る。そして、「プライドを捨てて地雷を踏め」のところがピークかと思いきや、ここを踏み台にしてさらにピークがやってきて、中盤には「あれ?」と思うくらい穏やかな箇所があって、そこからまた一気に荒れて…という、俺の精神構造の縮図のような曲。

サビらしいサビがなくて、つまりはサビに頼っていないところが気に入っていて、この曲をもって俺もいよいよ天才呼ばわりされることになるのかなと思っていたのだが、今のところ誰からも天才呼ばわりされていない。

生まれてくる国を間違えたか?


組曲『綺麗な動物』解説〜①FLOWERS IN THE DIRT

ライヴのセットリストを組むというのはまさに「適材適所」を考えることであって、中でも、最も苦心するのが一曲目で、俺も色々と試行錯誤を重ねたのだが、結果、『綺麗な動物』という組曲が誕生するにあたって、序曲の座を射止めたのはこの曲だった。

イントロのギターは音を鳴らしている部分以上に、音を鳴らしていない「間」の部分に意味がある。間の部分の緊迫感が照明の暗転と相まって、前のバンドが終わって散漫になっている客の注意力をグイッとステージ上に呼び戻してくれる。そして、さっきまでざわついていた客席がシンと静まり返る。

客が静まり返ったのを合図に、イントロと同じコード進行から間を取っ払った音の塊を叩きつけて、組曲の開演を告げ、歌い始める。

メロディーは俺が最も得意とする、俺だけがビートルズっぽいと思い込んでいるタイプのもの。また、短い曲ながら展開が緩急に富んでいて、動と静がせわしく交互するので、冒頭の緊迫感を持続させたまま、気分を高揚させていくことができる。

組曲の序曲としてこれ以上の曲はないし、何度やっても飽きないし、この曲を書いて本当に良かったと思っている。


次回ライヴ情報

『すだち』

2018.1.30.tue 扇町para-dice

<open/start> 19:00/19:30

<adv/door> ¥1200+1drink

<act>キタ(than)、バニー・マツモロ、和田怜士、s.ilver

※ライヴハウスのHPに一点、不明な点があり、ひょっとしたらもう一組増えるかもしれず、そうなるとタイムテーブルも変わってくるのだが、おそらくはこの4組で決まりで俺の出番は2番ということになると思う。

俺は今回も組曲『綺麗な動物』で挑もうと思っている。『綺麗な動物』を演るのはこれで4度目だが、まったくもって飽きが来ず、やるたびに変化や進化を感じているものをわざわざ変える必要もないだろう。

40歳最後の日。有終の美を飾って、胸を張って先へ進む。


好きじゃないバンド名10選

⬆︎わけのわからない名前のバンドは、アルバムジャケットもわけがわからない。

THE ALMIGHTY(ジ・オールマイティー)

自分で言うなと思うと同時にハードル上げ過ぎだと思う。上げ過ぎたハードルを前にして力み過ぎたがゆえの「ぢ」なのかなと思う。

THE BEACH BOYS(ビーチ・ボーイズ)

ダサ過ぎて話にならない。

THE 52’s

読み方がわからないし、わかりたくもないし、どうしても「ごじゅうにず」と読んでしまうから嫌い。

GREEN DAY(グリーン・デイ)

音楽は好きだけどバンド名は0点だと思う。

radiohead(レディオヘッド)

このバンドも音楽は大好きなんだけど名前が…。頭の良い人にしかわからない笑いみたいで苦手。

THE MUSIC(ミュージック)

全っ然おもろない奴が全っ然おもろないことを大きな声で言うてる感じが嫌。

THERAPY?(セラピー?)

癒し?って言われても答えに困る。だいたい、名前に「!」や「?」は使うべきじゃない。「山田よしお?」って名前の奴がいたら嫌だろう。「知らんわ!」としか言いようがない。

!!!(チック・チック・チック)

…。

THIN LIZZY(シンリジィ)

竹藪か!と言いたくなるくらい棒が並んでるようにしか見えない字体が嫌なら、やたらと母音が「い」なのも嫌で、バンドのルックスも嫌。

RAINBOW(レインボー)

ハードロック/メタル系には残念なものが多い。その中でも特に残念なのがこれ。ダサいにもほどがある。「Deep Purple」の生みの親が名付けたものとは到底思えない。


好きなバンド名10選

Deep Purple(ディープ・パープル)

バンドの音楽とイメージを表現し切ったバンド名界の傑作。字体もこのように頭だけ大文字にすると凄く綺麗。

sonic youth(ソニック・ユース)

「sonic」と「youth」。単体で十分カッコいいものを合体させてあるんだから、そりゃカッコよくて当然だと思う。

Teenage Funclub(ティーンエイジ・ファンクラブ)

名前だけでギターポップ・バンドだとわかるから凄い。個人的にはこれも頭だけ大文字にした時の字体が好き。

U2(ユーツー)

一つのアルファベットと一つの数字を合体させる場合、この組み合わせ以上にカッコ良く仕上がるものはないと思う。

THE VELVET UNDERGROUND(ヴェルヴェット・アンダーグラウンド)

これもsonic youth同様、単体で十分カッコいい文字同士を合体させたパターン。音もカッコ良くて、発音すると気持ちいい。「ヴェルヴェット・アンダーグラウンドが好き」って言うロック好きが多いのはただ「ヴェルヴェット・アンダーグラウンド」って言いたいだけのような気もする。

menswear(メンズウェア)

ブリットポップ最後の華。シングルで散々期待させておいて、満を持して出したファーストアルバムで大コケして消滅したグズグズのバンドだったけど、名前は今でも好き。これは全部小文字でないといけない。

MARCHOSIAS VAMP(マルコシアス・バンプ)

日本のバンドとは思えないアメージングな言葉のチョイス。音楽もこのミステリアスな響きの名前に相応しいエキセントリックなグラムロックだった。ベーシストが変態のジュリーみたいだった。

northern bright(ノーザン・ブライト)

これも日本のバンド。昔、「ジャケ買い」ならぬ「名前書い」をしたのだが、音やルックスは期待通りUK寄りだったものの、曲がひとつも良くなかったので金返せと呟いた。

LED ZEPPELIN(レッド・ツェッペリン)

自分のバンドを組んで、ライヴハウスに音源を持っていって、店の人に「バンド名は?」と訊かれた時に、「レッド・ツェッペリン」と答えることができたらどんなに気持ちいいだろうと思う。

THE BLACK CROWES(ブラック・クロウズ)

「黒いカラス」って、カラスは大抵黒いと思うのだが、「THE CROWES」ではアカン。やはり「THE BLACK CROWES」じゃないとアカンのだ。ちなみにこのバンド、カッコいいのは名前だけじゃない。音楽もルックスもめちゃくちゃカッコいいのだ。昔、オアシスとジョイントツアーしてたけど、雰囲気が完全にジャニーズ事務所と吉本興業だった。