初のPV制作、その舞台裏

というわけで、和田怜士初のPV「バタフライ」はもうご覧頂けただろうか。私は音楽以外にも、文章を書いたりイラストを描いたりするけど、映像作品を作ったのは今回が初めて。一から十まで全部自分で作った。

「作った」と言って、サクッと適当に作ったように見えるかもしれないがさにあらず。実は結構手間暇がかかっている。

まず、絶対条件として、びた一文カメラを動かせない。完全に固定なので、スタジオが土足厳禁でスリッパを履いている関係上、足元が写り込まないようにすることを前提にアングルを熟考した。それから、頭上の照明とマイクの先が重なるようにしたり、スタジオの壁に掛かっている河合奈保子や薬師丸ひろ子のレコードジャケットを、持参したユニオンジャックの布で覆ったりした。すると、「画面にモノクロのフィルターをかけて、冒頭に丸い字体のアルファベットを挿入したら60年代のUKバンドのPVみたいな感じになるんじゃないか?」というアイデアが閃いて、自分が病的なアナログ人間であることを意図的に忘れてスマホを駆使。かくして、映像自体は出来上がったものの、家にWi-Fiが来てないので、近所のコンビニに何度も足を運び、雑誌の立ち読みをしているふりをしながら公開に漕ぎ着けた。

え?「お前がWi-Fiとか言うな」って?いやいや、俺、こう見えて結構Wi-Fi寄りの人間やねんで。

昨日の晩ご飯もWi-Fiやったし。


ブルースには敵わない

昨日、私は天王寺にいた。

大きな道路沿いの商店街からちょいと脇に目をやると、アーケードに覆われた昭和の忘れ物のような飲屋街があって、それはそれは目を疑うような見事な異空間だったので写真を撮ってもらった。

今、神戸新開地のライヴバーではブルースが熱いらしいが、それは大阪天王寺、新世界界隈のライヴバーに於いても同じことなのではないか?と思った。鼻を突く、尿臭染みた猛烈な人間臭が街全体に泥のように沈殿していて、この中にあっては、J-POPなどと呼ばれる使い捨てを前提としたコンビニエンスな音楽なんて完全にお呼びでないし、ロックでさえも「ちんこに毛の生え始めた生意気な若造」でしかないんだろうと思う。ドロドロに黒いジャズか、病的に時代錯誤なフォークか、出来損ないの演歌ならまだ何とかなるかもしれないが、それでもやっぱりブルースには敵わないと思う。

濃い、良いブルースを書きたかったら、ギターを抱えて新開地か新世界で一年ほど暮らしてみるべきだと思う。そして、あの猛烈な人間臭を1曲の中に余す所なく充填することができたら、その1曲だけで、その辺の見掛け倒しのブルースマンなんて皆吹き飛ばせると思う。しかしながら、コンビニエンスな街の中にある、コンビニエンスな人々で賑わう場所にあっては、「あなたは非常に気持ちの悪い人間である」という烙印を押さえて村八分。吹き飛ばされて、帰る場所は新開地か新世界しかなかった…みたいなことになるような気もする。


冷麺の兆し

どうやら、「冬の帰還」が今年最後のライヴとなりそうだ。今年やってきたことの集大成を見せたいと思っている。また、ライヴの他にも和田怜士としてやりたいことが山ほどある。最近、有り難いことに、人的にも技術的にも手持ちのカードが増えてきたから、貪欲に色々と試みていこうと思っている。

当ブログについても、おのずと「冷麺始めました」的な記事が増えることになると思う。


秋の遠征を終えて

秋の遠征は、店の内外で嵐が吹き荒れた。外では台風21号が、内ではさだまさしが猛威をふるった。

1番手のバンド、2番手の弾き語りともにさだまさしのカバーというアナーキーな流れの中、私の中にも巨大な台風が発生。私のパフォーマンスがどんな感じになったのかは写真を参照の上、読者の皆さんのご想像におまかせする。

<セットリスト>1.FLOWERS IN THE DIRT 2.綺麗な動物 3.バタフライ 4.果物をてんこ盛った巨大なケーキ 5.紙吹雪舞う 6.復活の予感 7.未来へ

なお、3番目に出演された愛西垣戸さんのピアノが感情の込もった非常に力強いものであったこと。私の後、6番目に出演されたちきらまさひろさんのパフォーマンスが声、ギターともに素晴らしいものであったこと。そして、7番目に出演された風来坊のまささんのルックスと声とのギャップが壮絶なものであったことを追記しておく。


暴君と傘

これだけ科学技術の進歩した現代にあって、傘のアナログ感って凄まじいと思う。

雨の日、傘をさしてスマホをいじっている人を見るたび、「どっちやねん」と思う。かたやデジタルの王様。かたやアナログの女王。

どんなに激しくデジタル化の波が押し寄せても、傘だけは侵食されることがない。誰も傘をデジタル化しようとはしない。暴君デジタルも完全にお手上げーそれが傘。

傘は、いかにして雨をしのぐかを考えた場合の子供の発想そのもので、おそらく永遠に、成長や発達とは無縁。アナログの女王は永遠にピュアなのだ。

嘘か真実か、ヒトラーが愛妻家だったという話を聞いたことがあるけど、暴君デジタルも、傘だけは侵さない、汚してはならないと強く心に決めているのかもしれない。


点と線

今回、10月のライヴを「秋の遠征」と名付けて、11月のライヴを「冬の帰還」と名付けてみたのだが、これが思いのほかいい感じなので、今後のライヴについても一つ一つタイトルを付けていこうと思っている。

私は毎回全力でやる。そして、毎回燃え尽きる。だから、一つ一つのライヴがさらっと終わって流れていく感じが耐え難い。線は見えても点が見えてこないというのは嫌だ。と、そんな思いがあって、これまで、コンスタントにライヴ盤を制作してきた。

一つ一つのライヴを作品と捉えてタイトルを付けることで、一つ一つのライヴに意味を持たせることができる。線の中に埋もれがちな点をちょっとだけ浮かび上がらせることができる。

そういえば、天皇陛下の退位が決まって、再来年の4月から新しい元号になるらしいけど、私が自分のライヴに付けるタイトルというのはこの元号と似たようなものだと思う。西暦だけじゃ、線だけじゃ、わけがわからんようになるから、名前を付けて、線の上に点を打つんだな。

数字には、水のようにさらっと流れていくという特性があって、それは人間の年齢を数字だけを見て捉えた場合にも同じことが言えると思う。でも、数字は数字。ただの数字。大切なのはその内容であって、内容をもって歳月の経過を捉えるならば、人間、そんなにさらっと老いていくものではないと思う。


年末戦線詳細

『秋の遠征』

10月22日(日) 枚方117-55

<open/start>14:00/15:00 <charge>¥1000+1drink

風来坊のまさ/ちきらまさひろ/和田怜士/スワンと愉快な仲間達/やましん/NOB/Botter一味 

*私は5番手。17時頃の登場予定。

『冬の帰還』

11月23日(木・祝) 扇町para-dice

<open/start>17:30/18:00 <charge>¥1200+1drink

吉見拓哉とつゆ知らず/THE CONIES/和田怜士/deep sea light/海月ゆづき/永源に死す

*私は4番手。19時30分頃の登場予定。


新曲『詩人の愛』

新曲が完成した。タイトルは『詩人の愛』

リルケという人が書いた『若き詩人への手紙』という本の中にある、「詩を書かずとも生きていけるのなら書くことをやめて下さい。詩を書かないと生きていけないようなら書き続けて下さい」という一節を題材に、私と同じ立ち位置で音楽をやってる人たちへの怒りを哀しみにまで昇華させて、重いバラードのメロディーに乗せてみた。

名曲だと思う。でも、まともに評価されるのは、私が死んだ後のことだと思う。そんな曲。