10曲中最も俺らしく、最もUK色の強い曲。
このメロディーが浮かんだ時は本当に嬉しかった。「出たあ!」と一人、スタジオで飛び跳ねた。元々、得意とする曲調なのだが、過去にこの曲ほど俺自身の心の琴線に触れたものはない。
普通なら「片想いは続く」の所に持ってくるべき主題、「赤い雨」というフレーズを、「片想いは続く」の前のさりげなく奇妙なメロディー、アクセントとなる箇所に持ってきているあたりが腕の見せ所。ゆったりとした曲の中にあってここだけ早口。スピード感があり、曲全体にスパイスを効かせていると思う。
詩の中に親父が登場するのは『道化師の息子』『FLOWERS IN THE DIRT』以来、三度目。親父は画家で、俺は音楽家で、やってることこそ違うけど、芸術を通して、芸術の向こう側にいる同じ一人の女性を追い求めているといった内容になっている。
俺自身の曲に対する評価とリスナーの曲に対する評価が一致、噛み合ったように感じた初めての曲である。