<曲について>
メロディーだけを抜き出して聴いてもらえば、骨格が完全に洋楽であって、俺が日本の音楽を聴いてこなかったこと、そして、洋楽は洋楽でもアメリカの音楽ではなくイギリスの音楽が好きで聴いてきたということが一発で分かると思う。
アレンジが冴えている。昔書いた曲にはトリッキーなアレンジを施してあるものが多いが、この曲に関してはトリッキーなことをしようなんて頭はなかった。なかったが、良い意味での違和感はあって、「本当にこれで良いのか?」と思ったが、自分にとってはこれが最も自然な流れらしく、どんなに考えても他の組み立て方が浮かばなかった。
<詩について>
例えば、誕生日を祝うにあたって用意したケーキにロウソクを立てて火を灯したら、次に何をする?そう、照明を落とすと思う。それと同じ要領で、「金平糖」というワードを引き立たせるために、「憂鬱」であったり「死」であったり、ダークなワードを並べてある…と言いたいところだけど、この曲の場合は逆で、照明を落とした真っ暗な部屋の中に火のついたロウソクを立てたケーキを持ってきた、というのが正解。いずれにせよ、これは一縷の望みの為に諦めたふりをしている人間の姿を歌った曲であって、ただひたすらに絶望的な曲ではないのだ。
<映像について>
個人的には、この映像はサイレントで観るのが好きだったりする。
1971年撮影。奇跡的に発掘された「映像は一切残っていない」とされてきた伝説的アーティストのフィルム…という設定で観ると、そうやって観れなくもないから面白い。