コロナ禍の真っ只中にあって、たまに雲一つない晴天の日がある。そんな時、俺は神様がシラを切ろうとしているように感じる。「え?コロナ?ぼ、僕知らんで」と。その一方でこうも思う。神様は決して人間が嫌いなわけではないのかなと。そう、こう見えて俺は無神論者ではないのである。どう考えたって神様はいる。
天使だっていると思っている。幸せな偶然に見舞われるたび、「あ、天使のしわざや」と思うし、深い愛着さえ抱ければ物にも魂は宿ると思っている。勘の良い方は既にお気付きのことだろうと察するが、俺はそういう人間なのである。
昔から「オモチャ箱をひっくり返したような」という言葉が好きで、そういった類のものの扱い方をさせると俺の右に出る者はいないと思っている。逆に、理路整然としたものの考え方。理屈で成り立っているものというのがわからない。理解できない。数学が苦手なのは、僅か0.01のズレを間違いだとする窮屈さがあるからで、理屈というのはそうやって、正解と不正解を問答無用に切り分けてしまうから、俺のオモチャ箱をひっくり返したような頭では到底理解できないのである。
神様も天使も物に宿る魂も、目に見えず手に触れられない。でも、俺の感覚は全てそういったものを軸に回っていて、俺の人生そのものがそういったものとの対話から成り立っているから、たまに「俺ほど音楽に向いている人間もいないんじゃないか?」なんてことを思ったり思わなかったりする。