思い出せ!

最近、「お前が人と同じことしててどうする!」という親父の言葉をよく思い出す。子供の頃から何につけ、人と同じことをしてると怒られた。

「自分らしい」というのは、もうそれだけでかなり奇抜だ。わざわざ奇を衒わずとも、ただ自分らしくあるだけで十分に奇抜だ。

割と追い込まれた状況にあって、開き直らざるを得なくなって開き直ったら、自然と「自分らしさ」が目を覚まして、別に奇を衒ったわけでもないのに、随分と奇抜な、面白い表現をしている自分がいたりする。

幸いなことに私は、「自分らしさ」なるものを忘れずに覚えていて、まさに今、それを思い出す必要に迫られていて、イラつくくらい徐々にではあるが、思い出しつつあるのかもしれない。

一糸纏わぬ「個」というのは、ただそこにあるだけで十分に奇抜で、思いも寄らない形勢逆転の糸口となることが多々あるけれども、自分の「個」が一体どんなものなのかをよくわかっていなかったり、自信が持てなかったりして、取り繕って、他人の、どこかで聞いたような言葉を真似て吐き始めた時点から、全てが当たり障りのない、奇跡的なものを起こし得ない、いちいち予定調和な、つまらないものになってしまうような気がする。

ただ「思い出す」ということが恐ろしく難しい大人という生き物。そもそも、何故忘れてしまったのかさえ思い出せない難儀な生き物ー大人。


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