19の時、いわゆる「もぐり」で大阪芸大に通っていた。びた一文学費を払わずに、勝手に通って、勝手に授業を受けていたのである。
ある日、ちゃんと学費を払っている学生たちに紛れて学食で酒を飲んでいた時、「今、これから、完全にオリジナルなものなんて作れるものなのか?」という議論になった。
議論が始まった段階で「作れる」と主張したのは俺を含めた3人。「作れない」と主張したのも同じく3人だったのだが、議論の末、「作れる」と主張するのは俺一人になっていて、気付けば、長椅子を挟んで俺の前に「作れない」と主張する5人が並んでいた。「面接か!」と思ったのをよく覚えている。
22年前の俺に拍手を送りたい。
「もし、世の中に俺と全く同じ顔の奴がおったらそっち側に座るよ」と、誰が買ってきたんだかわからない桂花陳酒片手にニヤニヤしながら言い張ってた覚えがある。