蓮華畑を見て一輪一輪に違いを見出せる人は、人混みの中に一人一人の個性をも見出せることができるらしく、それって、黒人の見分けがつかず、中国人と韓国人と日本人を見分けることすら危うい俺には超人的な能力だとしか思えないのだが、驚くべきことに世の中には、俺のような凡人よりも超人の方がはるかに多く存在するらしいことが、超人にしか理解出来ない言葉で彩られた歌『世界に一つだけの花』が愛されていることから知れる。
この歌の歌詞が嫌いで、「ナンバーワンこそがオンリーワンだと思う」などと非国民呼ばわりされても文句の言えない発言をしたのは、凡人の中の凡人でお馴染みのイチローであるが、彼のような人間からしてみれば、この歌は嫌がらせ以外の何物でもないだろうと思う。
全ての人間を「オンリーワン」というフレーズの下に雑に束ねてしまっている時点で、この歌の作者ほど「オンリーワン」という言葉の意味を理解できていない人間はいないと思う。だから、この歌を聞いていると「ナンバーワン」というフレーズには個を感じるけど、「オンリーワン」というフレーズにはモザイク処理が施されているようで微塵も個を感じない。
「ナンバーワンにならなくてもいい。ただボサっと生きてるだけでオンリーワンなんだからOK牧場♡」という「怠惰のススメ」みたいな歌。
一生ナンバーワンになれない怠惰な人間が上手い言い訳を探している怠惰な人間の為に屁理屈を捏ね回して作った乱暴な歌だ。