卓下のプロフェッショナル

今のところ、俺が身近なアーティストで良いと思っているのは、ソロで4人、バンドで1組だけ。そして、この5組の中で、特にメロディーを評価しているとなると僅かに2組で、その2組の内の1人がこの太田ヒロシ君である。

音楽やってるとイライラすることが多い。理由は色々とあるけど、その内の一つが「どいつもこいつもどうしてこうメロディーがくだらないんだろう」ということ。音楽は色々な要素から成り立っているけど、どいつもこいつもメロディーを諦めて、リズムとか音圧とか歌詞とか、メロディー以外の要素を前面に押し出している。演者がそんな調子なので、ライヴハウスやライヴバーに足を運ぶお客さんもメロディーに期待しなくなってしまっている。良いメロディーなんて聴けるわけがないという諦めの気持ちが根深く、強過ぎるために、奇跡的に目の前に良いメロディーを聴かせるアーティストが現れても気が付かなくなってしまっている。人の身体や機械が使わないと劣化して壊れてしまうように、メロディーを感知する機能に支障をきたしてしまっている。そして、そんな中で苦戦を強いられているのが俺であり、太田くんなんだと、俺は思っている。

俺は別にキリスト教徒でも何でもないけど、読み物として好きでよく読んでいた聖書の中に「ランプは必ずテーブルの上に置かれる」という一節があった。もしそれが本当なら、俺も太田くんもこのまま終わるわけがない。だって、もし「プロ」と「アマ」の違いが「それで食べていけてるかどうか」ということではなく、能力の差だけを言うのなら、俺のメロディーも太田くんのメロディーも完全にプロの仕事なんだから。


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