歌詞『waterfall』について

俺は日本人が10人いたら8人は自分の言葉を持たない没個性的な人達で、僅かに2人だけが自分の言葉を持つ個性的な人達だと思っている。8人の没個性的な人達は、誰が誰だか見分けがつかないし、言っていることの聞き分けができないので、ある意味「1人」と換算しても差し支えないと思っている。といった意味合いから、「掃いて捨てるほどお前はいる」というフレーズが浮かんで、これが歌い出しのメロディーにぴったりはまった。

この歌詞には俺が死ぬほど嫌いな二つの曲へのアンチテーゼが含まれている。一つは言わずもがな「世界で一つだけの花」。そしてもう一つは岡本真夜の「tomorrow」。「tomorrow」の歌詞の中に「アスファルトに咲く花のように」というゴミのようなフレーズがある。以前から、このゴキブリのような生命力を誇る花を踏み潰してみたいと思っていた。だから、積年の怨みから、ただ踏み潰すのではなく、無愛想に踏み潰してみた。

個性のない人間というのは、個を出さないことで誰かの影に隠れて楽をして生きている人達のこと。最初は意図的に出さなかったものが、出さな過ぎて出せなくなった。そして、無くなった。そんな奴らに個を認めたら図に乗って、本当に個性がある人の邪魔をするようになる。その縮図的な光景がライブハウスやライブバーに転がっている。「ただそこにいるというだけでうるさい花が何をトチ狂ったのか歌い出した」というのはつまり、そういうこと。

人と違うグローブを使っている。人と違う打ち方をしている。あらためろ。そうやって周りからダメ出しされるたびに「いや、僕はこれでいきます」と毅然とした態度で応えたイチローも「世界で一つだけの花」が嫌いだった。そして、「ナンバーワンこそがオンリーワンだと思います」と言った。

没個性的な人達を象徴するものを考えた。ゴールデンウィークの渋滞する高速道路が浮かんだ。蛇。あの蛇は一体どこを目指しているんだろう…大きな滝が浮かんだ。そういえばキーボードの鍵盤の形状。あれって滝の形してるから「ウォーターフォール」っていうんだったな。

『waterfall』と名付けた。


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