怜士、ロックンロール・ウェザー誌のインタビューに答える(後編)

Q 『eclipse』収録曲の中から「雫」の映像をシングルとして公開されましたが、この映像はどなたの手によるものなのですか?

A 俺が主宰してる海賊ライチrecordsのカメラマン、シスターマロンが撮ってくれた映像だよ。俺のライブ映像は全て、彼女の手によるものなんだ。

Q 映像には何か手を加えてありますか?

A うん。赤をどぎつくしてある。俺のイメージカラーだからな。太陽と月のステージは赤に彩られているけど、実際はこんなに強烈じゃないんだよ。

Q 赤と黒のコントラストが印象的な映像です。

A そうだね。赤を持ち上げたら黒も持ち上がったんだよ。そういえば親父が言ってたな。「光を綺麗に見せるためには影を綺麗に描かないと」って。ま、今回の映像に関して言えばただの偶然だけどな。

Q これまで、コンスタントに映像を公開してこられましたが、映像の制作と配信についてはどう捉えておられますか?

A まず、「楽しんでる」というのが一番だな。音楽と違って「本職」ではないからこそ楽しいんだよ。それから、映像を作ることの意味合いについては、今すぐどうのこうのというのは全く考えてない。来たるべき日に備えてるだけでね。いずれ必ず多くの人が俺と俺の音楽に興味を持つ日が来る。その時の為に準備してるんだよ。

Q アーティストの中にはYouTubeは音が悪いから嫌いだと言う方もおられますが、それについてはどうお考えですか?

A 音?良いとは思わないけど、そこまで悪いとも思わない。あれだけの音質があれば曲の良さは十分に伝わるよ。あれで伝わらないのなら、そもそも曲が良くないんだと思うよ。

Q 同感です。

A あともう一つ、映像について個人的に楽しんでる部分があるとすれば、チャートアクションかな。

Q チャートアクション…ですか?

A そう、チャートアクション。それぞれの映像の再生回数を売り上げ枚数に見立てて順位を競わせるんだ。野球のペナントレースに見立てても面白いよ。例えば今、まさに今、「グラサージュ」の再生回数と「雫」の再生回数の差は僅かに「1」なんだよね。で、俺はこれを「1ゲーム差」って呼んで楽しんでるんだ(笑)

Q なかなかの妄想力ですね(笑)

A 想像力と言ってくれ(笑)妄想力って…ん?でも、言い得て妙だな。というのも俺、子供の時、ガキンチョどもと走り回って遊ぶより女の子とおままごとする方がずっと好きだったからな。

Q え!?お、おままごとですか?

A そう。おままごと。家の近所をぶらぶらしてるとね、ゴザの上に正座してる女の子がいるわけ。膝に手を置いてね。で、偶然通りかかった見ず知らずの俺を呼び止めるわけ。「お父さん!」って(笑)

Q めちゃくちゃシュールですね(笑)

A  で、靴を脱いで、「ただいま」って言って家に上がると、「お風呂にします?ご飯にします?」って訊かれる。訊かれるけど、「お風呂にする」という選択肢はないんだ。

Q なぜですか?

A だって、お風呂に入る演技が出来るほど大きな家じゃないし、お風呂に入っちゃうと夫婦の会話ができないだろ?

Q 確かに(笑)

A で、「いただきます」と言ってご飯を食べ始める。ご飯を食べながら夫婦の会話をする。この時、奥さんはすごく上機嫌なんだ。鼻歌なんか歌っちゃって。

Q それはまたなぜですか?

A 給料日だからだよ。おままごとってどういうわけだか、誰が奥さんであっても設定が給料日なんだ(笑)

Q (爆笑)

A だから、「今月もお疲れ様でした」と来るとビクッとする。「やっぱり来た!」って(笑)

Q で、ちゃんと封筒か何かを渡す演技をするわけですか?

A そう。豆腐ばりに分厚いやつをね。一度、リアクション見たさに「落とした」って言ったら鬼の形相でテーブルひっくり返されたよ(笑)

Q (爆笑)

A いや、本当に面白かったな。想像力があって、そこに入っていけたら○○ゴッコほど楽しいものはない。これは大人になっても同じ。例えばこのインタビューだって「ゴッコ」だけど、「ゴッコ」であることを忘れてやると本当に楽しい。

Q え?このインタビューは「ゴッコ」じゃないですよ。私どもの会社は実在しますし、このインタビューを掲載したロックンロール・ウェザー誌も来週には店頭に並びます。

A 君の妄想力もなかなかのもんだな(笑)ひょっとして君もおままごとが好きだったりしたんじゃないのか?

Q ええ。あの時テーブルをひっくり返したのは私ですから。

A お風呂にする。


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