歌ある世界は愛ある世界

高校の時、「ラブソングなんて書いてたまるかアホンダラ!」と思っていた。で、「ラブソングのない世界に行きたい」という内容の『ラブソングのない世界』という曲を書いた。が、最近作る曲はどれもこれもラブソングである。

人間の感情。大きく分けて喜怒哀楽(実際には4パターンどころではない)。これを歌で表現しようと思えば、恋愛という「例え」は欠かせない。

ザックリと喜怒哀楽に分けて言えば、最近作った曲だと、「先見の明」「アイボリー」が喜。「口車に乗って」が怒。「赤い雨」「香しき日々」が哀。「orange」が楽。ということになる。

俺の場合、歌詞に出てくる「君」が人間の女性ではないことなんて日常茶飯事。人間の女性ではないものを人間の女性ではないもののまま表現すると救い難く難解で、作った本人にしか分からないものになってしまうし、自分としても歌に感情を込めにくくなってしまうから、恋愛の形をとって、歌いやすく、聴きやすくしている。それから、これは最近気付いたことなんだけど、恋愛にまつわる言葉には音的に柔らかく、メロディーに乗せやすいものが多いような気がする。「恋」も「愛」も乗せやすい。「恋愛」なんて、響き的にはほぼ英語。乗せやすい。「寄り添う」とか、まだ使ったことはないけど「抱擁」なんかもいい感じ。「恋煩い」なんて、日本語万歳!と言いたくなる。

というわけで、「ラブソングのない世界」というのは「ソングのない世界」と言っても過言ではないので、行かないに越したことはないのである。


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