人にやさしく

我が国に於ける会話は、語り手の国語力ばかり問われて、聞き手の読解力は問われない。 「お前、何言うてるかわからん。」とか、「お前の喩えはようわからん。」とか安易に言うが、いやいや、じゃ、お前の読解力はどうなんだ?という。そ...

貧民のプライド

「お客様、ゴールデン・バットでしたよね?すいません。今、品切れ中でして…。」 私の吸う煙草の銘柄を知っているコンビニの店員が、毎度毎度、「ポイントカードはお持ちですか?」と聞いてくるのだが、あれは、極めて不快である。素直...

姫と蜘蛛

姫「何故、私がこんな目に遭わないといけないのですか?私が何か悪いことでもしましたか?」 蜘蛛「それはまた人聞きの悪い。あなたが勝手に引っ掛かって来たんじゃないですか。私がこうやって巣を拵えるのは、これは、これが、私の仕事...

人生のグリース

100%純粋な心の持ち主がいたとして、彼が極めて生きにくいであろう、いや、生きていけないであろうことが、容易に想像できるのと同じように、100%嘘をつかない人間というのもまた、そんなのはいるはずがないけれども、いたとすれ...

キズナームX

「言いたい事はちゃんと言い合える仲でいましょう。ね?」などという言葉は、私にとっては、ただの無茶振りである。 「そりゃまあ、あんたにはそれができるでしょうが、私にそれを求められても、それは無理というものです。」という気持...

死んだ心

元来私は、救い難い程の恋愛至上主義者だったのに、その恋愛さえも、今や、別に…で。 心の恋人なら、いる。いるが、告白しようとか、ものにしたいとかいうふうには全く、微塵も思わない。あくまで『心の恋人』として、私の甘い想像を纏...

痴呆の如くに

ここ最近、自分でも不思議なくらい、物欲というものがない。 服が無いので買わねばならなかったり、財布が無いので買わねばならなかったりと、必要に迫られて、「買わねばならない」物はいくつかあるが、どれもこれも、「欲しい」物では...