一憩合格

通りすがりのオヤジが路上にしゃがみ込んで「ミィちゃ〜ん、こっち向いてぇ〜」と猫撫で声を発しつつカメラを向けていた。

「勝手に名前付けてんじゃねえよ」

私の胸に心の叫びが飛び込んできた。

親戚と合流して、ニッカウイスキー発祥の地、竹原へ移動。

酒の味を覚え始めた18才の頃から「国産ウイスキーはニッカに限る」と言い張ってきた私が、早かれ遅かれ、訪ねることになったであろう場所。

二日目の朝。目を覚ますやいなや海を眺められるという贅沢。昨日より船の往来が激しい。

海水浴にも釣りにも全く興味のない人間が何故こんなに海が好きなのか。

隔世遺伝。祖父が船乗りだったからではないかーという結論に達した。

サッポロ黒ラベルを出していることを売りにしている姿勢がすでに100点。

さらに、突き出しに土手焼きと鯵の南蛮漬けを出してきたことによって80点の加算。

BGMがTHE BOOMでなければ、接客態度が完璧だったことなどを含めて200点満点だった。

柳沢慎吾が来店した時の写真が貼ってあった。

当ブログのベテラン読者でも知り得ない事実。それは、私が柳沢慎吾の大ファンだということ。

宿代を極限まで削って、地元の店で夕食を頂く。これ、鉄則。

ピカピカで海の見えないホテルなんかより、ガタガタだが海の見えるホテルの方がずっと高級だと心得る。

坂道が多く、いちいち雰囲気がある。これは本当に素晴らしい。ただ、坂道が多いわりには年寄りが多い。買い物袋をぶら下げたお婆さんがフラつきながら坂道を上がって行くのを何度か見た。冷やっとした。

猫が多い。そして、どいつもこいつも人間を恐れていない。

ロープウェイに乗った。

昔ほど高所恐怖症ではなくなっている自分に気付いて喜んでいる私の隣で奥さんが「ア、アカン…」と言って震えていた。