引き継ぎ報告

「純ちゃん、俺のブログ引き継いでくれへんか?」怜士から言われたのは今月5日、彼が新曲『metamorphosis』を完成させた日の夜の事です。突然、何の前触れもなく行きつけの店、伊丹の居酒屋「六」に呼び出されて、何を言い出すのかと思ったら、そういう事でした。

「新曲ができた。ついさっきレコーディングが終わった。メンバー募集しても全然アカンからしょうがない、楽器、全部自分でやった。これがな、思ってたよりええ感じやねん。ごっつロックやねん。だから純ちゃん、俺のブログ、引き継いでくれへんか?」ときた。「だから」の意味がさっぱりわかりませんでしたが、私としては断わる理由がありませんでした。正直、彼の音楽は好きだし、それより何より、いい歳をして(45歳)ヒマなので…。わかっています。読者の皆さんからすれば素性の知れない私が何を思い、何を感じ、何を考えているかなんてどうでもいい。だから余計な事は一切書きません。ただひたすら、彼の音楽活動について書きます。文章を書く事自体は三度の飯より好きだし、自分の事を書かなくて良いから気が楽。引き受ける事にしました。

では早速ですが、新曲『metamorphosis』について、彼から聞いた話をわかりやすくまとめて書くことにします。まずこれは、先程も書いたように、全ての楽器を彼自身が演奏したものです。クリック(要するにメトロノーム。リズムがブレないように普通は当然のようにこれを使いますが、彼はこれを忌み嫌う。「モタりも走りもしない表現なんて不自然で気持ち悪い」は彼の揺るぎなき信念です)を使わず、尺すら考えずにテキトーにドラムを叩いて、そこに音を被せていったそうです。曲の軸として最初に頭の中にあったのはベースラインで、これは仕事が忙しくて走り回っている時にどこからともなく聞こえてくるフレーズなのだそう。ギターアンプは2台使っていて、1台はスタジオにある、店長自慢の、ベンチャーズが使っていたというフェンダーのデカいアンプですが、曲の最後のスクラッチ音のところは自宅から持ち込んだorangeのミニアンプを使っているそうです。

『metamorphosis』というタイトルは、彼が気に入っているブレスレットの石の名前だそうで、「変容」という意味と効果があるそうです(そういえば、最近、彼の口癖は「俺、変わりたいねん」です)。

最後に、この曲の立ち位置ですが、これは、和田怜士初となるスタジオアルバムの冒頭を飾る曲として制作したそうです。「最低あと10曲は録る。録って、アルバムにする。完成したら誰に聴かせるか?俺自身に聴かせる」といつもの調子で言ってたので間違いないでしょう。

というわけで、歴史ある当ブログを、私、本田純正が引き継ぐ事となりました。今後ともよろしくお願いします。それから、まことに申し訳ございませんが、コメントはお控え下さい。頂いても返事できません。私はただ、和田怜士の音楽活動についての近況を報告し、その事によって、たまに彼に酒を奢ってもらうのみです。よろしくお願いいたします。


nowhere man〜いまさら届くレノンの言葉〜

He’s a real nowhere man
アイツは本当に行き場のない男
Sitting in his nowhere land
アイツだけのどこにも存在しない土地に座り
Making all his nowhere plans for nobody
誰のためにもならないどうしようもない計画を立てている

 

Doesn’t have a point of view
なんの見立てもなく生きていて
Knows not where he’s going to
自分がどこに向かっているかもわからない
Isn’t he a bit like you and me?
アイツってなんだか俺や君に似てないかい?

 

Nowhere Man, please listen
行き場のない男よ どうか聞いてくれ
You don’t know what you’re missing
お前は自分が何を見落としているのかわかっていないんだ
Nowhere Man, the world is at your command
行き場のない男よ 世界はお前の思い通りだというのに

 

He’s as blind as he can be
アイツはこれ以上ないくらい多くの物事に目を閉ざし
Just sees what he wants to see
自分の見たい物しか見やしない
Nowhere Man can you see me at all?
行き場のない男よ お前には俺のことが少しでも見えているのか?

 

Nowhere Man, don’t worry
行き場のない男よ 心配するな
Take your time, don’t hurry
ゆっくり時間をかけるんだ 焦ることはない
Leave it all till somebody else lends you a hand
ひとりで片付かない問題は誰かが手を差し伸べてくれるまで待てばいい

 

Doesn’t have a point of view
なんの見立てもなく生きていて
Knows not where he’s going to
自分がどこに向かっているかもわからない
Isn’t he a bit like you and me?
アイツってなんだか俺や君に似てないかい?
Nowhere Man, please listen
行き場のない男よ どうか聞いてくれ
You don’t know what you’re missing
お前は自分が何を見落としているのかわかっていないんだ
Nowhere Man, the world is at your command
行き場のない男よ 世界はお前の思い通りだというのに

 

He’s a real nowhere man
アイツは本当に行き場のない男
Sitting in his nowhere land
アイツだけのどこにも存在しない土地に座り
Making all his nowhere plans for nobody
誰のためにもならないどうしようもない計画を立てている
Making all his nowhere plans for nobody
誰のためにもならないどうしようもない計画を立てている
Making all his nowhere plans for nobody
誰のためにもならないどうしようもない計画を立てている

諦観と矛盾

コロナが出てきたのをキッカケに外に出なくなって、コロナとは関係ないけど身近な人が相次いで亡くなって、これまで全く付き合いのなかった親族的な関わりに奔走して…という中で常に考えていたのは「音楽やらねば」だったが、「やらねば」という意識に違和感を通り越してストレスが出てきた。「自分にはこれしかできない」というのが根にあって、音楽を「やらねば」という義務的なものとして捉えるのが馬鹿らしくなってきた。一度、完全に手放してみてはどうか。

もう以前のような憤りも怒りも苛立ちもないし、もう本当にどうでもいいんだけど、巷の「音楽好き」を自称してる人たちの聞いてる音楽の何が良いのかさっぱりわからないし、聞き方が理解できないし、音楽やってる人たちの品の無さと頭の悪さは…もう何度も書いてきたから言わない。とにかく、俺が音楽やる意味あるのか?と考えた場合に「ない」としか言い様がない。曲を作って、「お!これは名曲や!」という手応えを感じると同時に「また『わからへん』って言われて終わりなんやろうな」と思って、その通りになって…という流れに飽きた。慣れ過ぎてもう腹も立たんけど。

音楽。聴くのは別として、やる事については一回完全にやめたろ!忘れたろ!と思ったら俄然気が楽になった。一旦、完全にやめてみよう!忘れてみよう!それで俺が死んだとて、俺の作った曲が消えてなくなったとて、全く何の問題もない。

一方。たまにYouTubeを見ると自分の映像の再生回数が伸びている。これは素直に嬉しい。リアクションがあるというのは嬉しい。本当に嬉しい。頭の上に「?」を浮かべているアホな客相手にライブやるより、たかが「1」されど「1」。友達いないんだろうな。でも、それは俺も同じ。ありがとう。感謝。だから、また映像は撮るかもしれないし、撮りたい。

長く続けてる?だからどうした。演者同士褒め合って仲良しこよし、アホな客をアホなまま放置して意味のないライブを繰り返しやる事に何の意味がある?何も残らず、残す意志のない表現の繰り返しに何の意味がある?

めんどくさっ!

しょうもなっ!

や〜めたっ!


my first guitar

実家で物品整理をしていたら出てきたmy first guitar。中学の時、ストーンズの初来日公演を観て脳みそ爆発した勢いで押し入れから引きずり出してきて夢中になって弾いたやつ。ホールを覗き込むと筆字で「全ての音楽愛好家に捧ぐ」みたいな事が書いてある得体の知れない日本製。徹底的に自分の物にしたくて大阪城ホールにジョージ・ハリスンのライブを観に行った時に買ったさほど好きでもないエリック・クラプトンのステッカーを貼ったり、ジミー・ペイジのシンボルマークを描いたり、左肩の部分に何だかよく分からない塗装を施したり、無意味にロッドカバーをはずしたりした。でも、もう必要ない。場所を取るし心苦しいが破棄せねば…と思っていたら親戚が引き取ってくれる事になった。いとこの娘さんがギターを弾いてみたいのだそうだ。

楽器ってホント上手いこと命拾いしよる。


素晴らしき太田ヒロシのウクレレ世界

実はブログを休止してる間にある人から助言を受けて、YouTubeで観てもらえる各動画の説明欄に歌詞を載せておいた。一切公表しなかったから誰も気付かないだろうと思っていたのだが…いた!そして、ウクレレで「未来へ」をカバーしてくれた!

素晴らしい!嬉しくて手が震えたぜ!ありがとう太田くん!


ちょっと工夫でこの美味さ

通学、通勤の際、いつもの道を少し変えてみるだけで違った景色が見えてきて新鮮な気分を味わえたりする。それと同じ理屈で最近、CDのランダム再生にハマっている。

聴き飽きるほど聴いてきた作品はもちろん、近頃聴き慣れてきたなという感じの作品についても、予期せぬ曲順で聴く事によって随分と新鮮な気分を味わうことができる。

オススメは曲数の多いベスト盤。個人的にはコレのランダム再生が気に入っている。どこを切っても美メロ滴るレモンのようなアルバムなのだが、ランダム再生することによって絞り方が変わって味わいが変わる。

是非あなたもお気に入りの一枚でお試しあれ。


カメレオン

主観が過ぎてしんどかった。長いこと過度に主観で物事を捉えてきた。「物事」には自分自身も含まれるから、本当にしんどかった。自分の身体から見える範囲のものだけを見て、聞いて、感じていた。全てが自分の目と鼻の先にあって、入ってくるもの全てが減速する事なく突き刺さってくるようで痛かった。精神的に常に過敏な状態にあった。興奮状態にあった。「ボクサーは殴られるのが嫌だから殴る」と誰かが言っていたが、常に何かを、誰かを殴っていないと不安だった。無駄な闘争心があって、この闘争心に「好きな色は?」と尋ねたら「赤」という答えが返ってきて、他の色には一切興味を示さなかった。

「主観」の対義語は「客観」。主観が過ぎてしんどいのなら客観で物事を捉えれば良いのでは?と言えそうなものなのだが、自分に固執して生きてきた根っからの主観人間が客観で物事を捉えるというのは至難の業。他人目線で物事を捉えるには他人になり切らないといけないような気がして腰が引ける。結果、二兎を追う者は一兎をも得ず、中途半端に片足は他人、片足は自分という不恰好になって、他人と自分が反発し合った場合に身体が真っ二つに裂ける…という最悪の事態を想像してしまう。無理。

主観に限界が来ていて客観も無理…万事休した時、知った言葉が「俯瞰(ふかん)」だった。自分は自分のままで良い。他の誰かになる必要もない。ただ頭上高くから視野を広く持って、自分と自分を取り巻く状況を見下ろす。これが「俯瞰して捉える」という事。これを知って劇的に肩の力が抜けた。幽体離脱ではないが、自分から自分を抜く。ある意味、自分を手放すという事。かごの外に出してやる。他人目線で自分を見るのではなく、自分自身を離れた所から見る、捉えるという事。これならできる!と思った瞬間から無駄な闘争心がなくなって、赤以外の色も綺麗だと思うようになった。青や緑も綺麗だと思うようになった。特にアップルグリーンなんて素晴らしい!何故そう思えるようになったのか。たぶん、視野が広くなった分、自分自身を多面的に見られるようになったからだと思う。自分は、赤い時があれば青い時もあって、緑の時もある。それこそ秒単位で変化変色し続けているカメレオンのような生き物なんだという事に気付けたからだと思う。

過去に戻れるとしたらいつに戻りたい?なんて事をたまに訊かれるがいつにも戻りたくない。

今現在の自分が一番好きだ。