息子と舎弟

私は天才的な晴れ男である。
私クラスの晴れ男ともなると、私が外に出ること、これすなわち雨が上がるということであると一点の曇りなく信じきっている。そして、実際に晴れる。しかしながら、あの獰猛なカラスにも天敵がいるように、私にも天敵がいて、それがあろうことか私の母親で、私の母親は鬼才的な雨女で、彼女が家を出ること、これすなわち雨が降るということで、実際に降るのである。では、二人同時に外出した場合どうなるのかというと、この場合は残念ながら曇りか雨のことが多く、やはりさすがの天才も鬼才には勝てないという事実を如実に物語っているのである。

ところで、私の父親は、私ほどではないにせよ晴れ男である。秀才的な晴れ男である。したがって、単純に考えれば、私と母親と父親が三人同時に外出した場合には晴れる確率がグッと高くなるというのがものの道理なのであるが、私の母親はそれでも雨を降らせてしまう恐ろしき鬼才の持ち主で、もはや神憑り的でさえあるのである。

高縄手盆踊り大会―「イタソニマスター」たる姉御に警戒すべき人間がいるとすれば、それはいかりや長介でも仲本工事でも高木ブーでもなく、うちの母親なのであるが、母親自身は人並みに雨が嫌いで、日頃から自らの才を呪っているので、可哀想と言えば可哀想で、私としても、舎弟として姉御の為に人肌脱ぎたいのは山々なのであるが、かといって息子が可哀想な母親を家の柱に縛りつけるという暴挙に出るわけにもいかず、こればかりは運を天に任せるより他ないのである。

今現在、伊丹最北端は文句ナシの快晴である。が、鬼才を甘く見てはいけないことを、天才の息子はよく知っている。

※上の文章は、本日15時頃に作成したものである。この後、16時頃から伊丹最北端はまさかの雷雨となり、今、この追記を書いている18時20分現在も小雨が降り続いている。大丈夫なのか?高縄手!


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