隠れた名盤

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「音を寝かせる」という言葉がある。

先日も、12月2日にブルースのカバーアルバムを出したばかりのストーンズのインタビューで、ギターのロニーがこんなことを言っていた。「メンバー全員、スタジオで輪になってブルースを演奏して、レコーディングした。それから少し、その音源の存在を忘れて、寝かせておいて、ある日、ふと思い出して聴いてみたらこれが驚くほど良い出来で、「これ、誰が演奏してるんだ!?」「俺たちだ!」となったんだ」

私は今年、8枚の音源を制作した。全て今年作ったものだから、一番古い『Ⅰ』にしてもさほど時間は経っていない。にもかかわらず、各作品、ちゃんと「寝かせる」ことはできていたらしく、古いものから順に確実に聴こえ方が変わってきた。数ヶ月前より明らかに良く聴こえる。味が出てきたというか何というか…あれ?これってこんなに良かったっけ?という不思議。

中でも『Ⅱ』が特に良いと思う。2曲しか入ってないし、2曲ともライヴのセットリストから漏れ続けてるから、今のところダントツで売れゆきが悪いけど、二度と同じ音では録れない音で録れてるし、音源としては素晴らしい出来だと思う。ダントツで売れてないけど…。

『Ⅱ』は私の中の非常におぞましい部分と非常に女々しい部分が絡み合ったもの。したがって、濃い。濃いからこそ2曲入り。2曲で十分。

『Ⅱ』が好きだと言う人は、私の音楽を深く理解できる人だと思う。そんな人がいたら嬉しい。嬉しいけど、あまりお近づきにはなりたくない。


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