箱の中にも一年

あちらでやり、こちらでやり…一ヶ所にとどまらず、色々なライヴハウスに出るというのも一つの手だというのは、私もバンド時代にはそうしていたし、よく知っている。そして、どちらかといえば、そういうやり方の方が一般的だということも、よく知っている。でも私は、少なくとも今年いっぱいは、一ヶ所に出続けることに決めている。

何故か。

どんなライヴハウスだって、繰り返し出続けて初めて見えてくるものがあるんじゃないか?と考えたからである。そして、それは、ライヴハウス側から私を見る場合にも同じことが言えて、繰り返し出続けて初めて見てもらえるものがあるんじゃないか?と考えたからである。

そのライヴハウスが今、何をしていて、どこへ向かっているのか。私が今、何をしていて、どこへ向かっているのか。その試行錯誤と変遷を、知る必要があり、知ってもらう必要がある。

確かに組織対個人ではある。でも、人間対人間であることに変わりはない。その人のことを理解したければ繰り返し会うに越したことはないし、その人に自分のことを理解してもらいたければ、やはり、繰り返し会うに越したことはない。繰り返し会い、理解することで、相手が自分に何を求めているのかが見えてくる。

とにかく、今年、私は、あの天神橋筋商店街にあるライヴハウスに出続ける。そして、ある程度の好き嫌いはさておいても、お互いに正しく理解し合えていることさえ実感できたら、あそこを「ホーム」として、ジャンジャン外へ繰り出していこうと思っている。

普段は闘争心のカケラもないくせに、一歩音楽の世界に足を踏み入れると途端に喧嘩腰になる、計算の「け」の字も無いような私にも、戦略のようなものがないわけではないのだ。


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