制作過程の物語

ティンカーベルのような存在がいて、そいつが、暗闇の迷路を歩く私の耳元で「そこを右に」とか「もう少し真っ直ぐ行ったら壁に突き当たるからそこを左に」とか言って道案内をしてくれる。私はその声にめちゃくちゃ従順で、これっぽっちも疑う気持ちがない。で、「さあ、着きましたよ」の声が聞こえたと思ったら、パッと明かりが点いて、辿り着いた場所が始めにいた場所であることに気付く。間違いなく始めにいた場所なんだけど、私は自分が迷路から脱出できたことを実感して、歓喜する。

新曲『綺麗な動物』は、初めて歌詞にメロディーを付けたこともあり(いつもは、先にメロディーがあって後で歌詞を付ける)、制作過程で、今まで感じたことのない流れを感じた。で、その感じたものを例えるとすれば、「ティンカーベルと私」になると思った。

とにかく、メロディーがあっちに行ったりこっちに来たりした。でも、今回、私はそれを咎めず、なるに任せた。すると、最終的には、メロディーはちゃんと元いた場所に戻ってきて、その瞬間に「形になった」と思った。

もう少し磨けば、絶対、良い曲になる。


コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。