21年目の開花

19の時、私は神戸のとあるバンドに加入して、2曲、英語詞の曲を書いた。

2曲のうち1曲は良い出来だったのだが、当時はまだ曲の作り方をよくわかっていなかったので、シンプル過ぎて、どこか物足りなくて、気に入らなくなって、日本語詞で曲を書くようになるとすぐにボツにした。

7年後。26の時。ふと件の曲を思い出して、色々とアレンジを施して復活させた。が、今度は手を加え過ぎたことによって曲が散漫になり、パンチがなくなって、駄目になった。ライヴで何度か演ったが、すぐに飽きてボツにした。

それから14年後。曲の原型が生まれた時から数えると21年後となる先日。スタジオで突然、件の曲を思い出した。そして、頭で考えたわけではなく、一瞬の閃きに従って、以下のことをした。まず、無駄を完全に削って一度原型に戻した。それから、一部新しいメロディーを付け加えて、冒頭のギターリフを曲の終わりに持ってきた…そしたら、ただそれだけのことで、ものの見事に化けた。21年の歳月を経て、ようやくあるべき姿になったのである。それもほんの一瞬で。

一瞬の閃きの為に21年かかった。でも、ずっとボツにし切れなかっただけのことはある。恐ろしく良い曲だ。あとは言葉を乗せるのみ。

その娘は、子供の頃からなかなかの別嬪さんだったが、あまりにオシャレ気がなかったので、誰も別嬪さんであることに気が付かなかったし、自分でも自分が別嬪さんであるということを自覚していなかった。7年後、それなりに着飾ることに目覚め、化粧することを覚えたが、下手クソで、残念な仕上がりになってしまった。14年後、大人になった彼女は、自分に何が似合い何が似合わないのかをよくわかっていた。そして、めっきり自信をつけ、誰の目にも明らかな美人になっていた…というところかな。


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