佐野元春

一年前、この人のアルバムは一枚も持っていなかった。それが今や俺のCD棚の中で、ビートルズ、オアシス、ストーンズに次ぐ4番目に大きな勢力になった。

一年前は「サムデイ」と「ガラスのジェネレーション」しか知らなかった。「大した実績もないのに大御所な人」だと思っていた。「ロックの人」というイメージすらなくて、「杏里の男版」くらいに思っていた。それが…。

きっかけは、ライヴハウス等にごく稀にいる素晴らしいアーティスト。例えば、バニーマツモロさんやヒラタユウイチさんといった人たちが皆悉く「好き」と言っているのを耳にしたことだった。で、半信半疑、近所の中古屋の特価コーナーに並んでるのを買ってきて聴いたら全部良くて驚いて、最近発表された作品を買って聴いてみたらこれが昔のよりも良くて、映像を観てもカッコいいし、人間的にも愛嬌があって面白いし…傾倒が始まった。

作品のたびにやることが変わる。音楽的な引き出しが恐ろしく多い。言葉の紡ぎ方も素晴らしい。「詩人」と称されるだけあって「歌詞」ではなく「詩」を歌う。トータル的には、日本語を歌ってはいるが常に洋楽のニュアンスがある。そして、「何をやっても軸にあるのはロックンロール」という姿勢をデビュー以来、60歳を超えた現在に至るまで貫き通してきたことが問答無用にカッコいい。

来月、初めてライヴを観に行く。今から楽しみでならない。

それしても俺、音楽以外の事にもこれくらい勉強熱心ならもう少し出世できたのかもしれないな…と思わないこともない。

ま、音楽で出世すりゃいっか。


コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。