魂のオアシス

雨が降ると地下に水が溜まる。その水は地層によって時間をかけて濾過された水で、定期的に雨が降りさえすればそうそう容易く枯渇するものではない。

ソングライターにとって音楽を聴くことは自分自身に雨を降らせることだと思う。聴いた音楽が時間をかけて濾過されて、一滴一滴魂に蓄えられていく。毎日欠かさず聴いて、一時も供給を絶やすことがなければ、地下にオアシスができる。ソングライターは曲を書く時、バケツを持って地下に降りて、オアシスから水を汲んでくる。

よく「アイデアの枯渇」とか「才能の枯渇」とか言うけど、それは単に音楽を聴かなくなったから、雨を降らさなくなったからだと思う。有名になって、常に陽の当たる場所に立たされるようになって…ずっと陽に晒されてたんじゃカエルだってカピカピに干からびる。

有名でなくても、毎日のようにライヴをしている人たちがいる。あの人たちの貯水状況はどうなってるんだろうと思う。ライヴほど陽に晒される行為はないんだから。俺は基本、地下のオアシス沿いにいて、寝そべってるかギター弾いてるかしてる。そして、たまに地上に出て陽を浴びる。

たまに地上に出ると調子に乗って必要以上に陽を浴びてしまう。で、ハッと我に返って、オアシスのことが気になって、地下に駆け下りて、水位の変動を確認することなく、大量に雨を降らせる。


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