プロという名の衣装

「お客さんを呼んで、時間とお金を使わせてる以上、俺はプロだ」というのは以前にも書いたし、これからも書き続けるだろうと思う。なぜプロという言葉にこだわるようになったのか。責任感を持って音楽やりたいからというのはもちろんなんだけど、それだけじゃない。プロならプロらしく…と考えていくと面白いアイデアに辿り着ける事に気付いたからだ。色々な事を可能な限りプロ仕様にしていく。これがやってみると思った以上に面白い。

プロならレコードレーベルに所属してなきゃ。というわけで海賊ライチrecordsを立ち上げた。プロのCDに帯が付いてないのはおかしい。というわけで帯を付けた。プロのライブに物販がないのはおかしい。というわけで物販席を設けることにして、グッズも作ることにした。プロのライブはたまにしか観れない。俺のライブもたまにしか観れない。俺の知っているプロは「レコ発」などという間抜けな言葉を使わないし、「音楽友達」を縮めて「音友」なんてのはもってのほか。だから使わない。俺の知っているプロはステージ上でダラダラ喋らない。だから喋らない。プロのライブは「ライブ」とも言うし「公演」とも言う。だからトップページの「ライブ情報」を「公演日程」に変えた。プロはファンの期待に応え続けないといけないし、その都度上がっていくハードルを越えて見せないといけない…という意味合いから、ライブ毎にテーマを決めて、自分に課題を課している。

ネットで「プロの定義」を色々と調べてみたら、「それを職業にして食べていけている人の事」というのが意外と見当たらなかった。むしろ、「それは大した問題ではない」という内容のものが多く、代わりに、プロには「鉄の掟」という5つの条件があるという記事があって俺の目を引いた。

1.クライアント・インタレスト・ファースト(顧客利益第一)➡︎全てはクライアントの為に。
2.アウトプット・オリエンティド(成果指向)➡︎結果が全て。
3.クオリティ・コンシャス(品質追求)➡︎本気で最高を目指す。
4.ヴァリュー・ベース(価値主義)➡︎コストは問わない。
5.センス・オブ・オーナーシップ(全権意識)➡︎全て決め、全てやり、全て負う。

1の「全てはクライアントの為に」というのは、この「鉄の掟」の他にも、プロの定義について書かれた記事のほとんど全ての中にあった。つまり、2〜5は1ありき。1の為に2〜5がある。「クライアント」の部分には俺の場合、「オーディエンス」が当てはまる。ライブを観に来てくれる人達。CDを買ってくれる人達。全てはオーディエンスの為に。最近、俺、本当にそう思っている。そう思えばこその試行錯誤があって、変化できるし成長できることを最近、ようやく知った。

俺の仕事は楽しませることであって楽しむことではない。楽しませたことで得る最大の報酬は嬉しいという気持ちであって金ではない。

お客さんの事を考えるようになったら、お客さんの立場に立って物を考えるようになったら、途端に「アマチュア」という安価で無難なデザインの服を着ている自分に気が付いて、恥ずかしくなって脱ぎ捨てて、着こなせるようになるのはまだ少し先の話になるだろうけど、「プロ」という、高価で着る人を選ぶデザインの服を着てみたくなった。今はまだ着られている感満載だが、そのうち必ず着こなして、意気揚々と「アマチュア」を着ている奴らに赤っ恥をかかせてやる。

どんな服も必ず着こなせる日が来る。だから、とりあえず着てみなきゃ。

ね?横山たかし師匠!


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