伊丹は盆踊りが盛んな街であるが、それは特に北部を指して言うことであって、南部はさほどではない。が、そんな南部にも1箇所だけ、俺のように北部で生まれ育った人間をも唸らせる熱い盆踊りがあって、昨夜、見に行った。
ずっと音を聞いていた。そして、「これはライヴだ」と思った。やはり、ライヴはお客さんと一緒に作るものだ。どんなに素晴らしい演者が、どんなに素晴らしい演奏をしても、そこにお客さんがいないんじゃどうにもならない。俺がライヴの時にいつもギターの内音(客席にではなくステージに向けて出す音)を大きくしてもらうのは、自分を鼓舞するためだが、お客さんが目の前に大勢いるというのは、それも良いお客さんが大勢いるというのは、ギターの音以上に自分を鼓舞してくれる。演者とお客さんの「鼓舞して鼓舞されて」に引っ張られるようにして、その空間全体がズンズンズンズン高みに昇っていく。これがたまらない。これがライヴ。
盆踊りは、太鼓を叩く人がいて、櫓を取り囲んで踊る人がいて、太鼓を叩く人と踊りを踊る人を取り囲む人がいる、鼓舞の三重構造。
その辺のロックバンドには到底歯が立たない迫力がある。