うちの奥さんが元春さんのオリジナルアルバムを発表順に並べてくれと言うので並べてみたらなかなかの貫禄で警察が犯罪者から押収した品々みたいになった。
あと一枚で全作品揃う。「揃えた」という意識はない。揃った。
こうして眺めてみると、あらためて40年のキャリアって凄いなと思う。40年間、昔からのファンの信頼に応え続けながら、新しい、若いファンも獲得してきた。凄いバイタリティーだと思う。
先日、テレビで年末恒例の「音楽祭」みたいなのをやっていたのだが、出演者の8割がジャニーズだったので、激烈にイラッときて2秒で消した。あんなもの、音楽でも何でもない。ただの使い捨ての悦楽。それも相当な安物。コンビニエンス。
一昨年だったか、俺、『MUSIC IS DEAD』というタイトルのミニアルバムを出したんだけど、このタイトル、めちゃくちゃ気に入っている。音楽は死んだ…奇をてらうつもりなんて微塵もなかった。ただひたすらに事実を述べたまでのこと。音楽は死んだ。死んでいる。俺の中ではこう続く。「が、ROCKだけは生きている」。音楽が死んだことに気付くのも、そのことについて抱いた悲痛な気持ちを怒りに、パワーに変えて、皮肉たっぷりに音楽を蘇らせようとするのもROCKだけ。他の音楽はただただ傍観しているだけ。危機感も怒りも何もない。目の前に泣いている人がいても我関せず。そのスタンスさえ維持していれば当たり障りなく「いい人」でいられると思っている。在り方として、清潔かもしれないが綺麗ではない。優しさのカケラもない。くたばれ。ってもう遠の昔にくたばってるか…。良い事だ。
この国にも、ごく僅かながら本物はいて、本当の音楽がある。ただ、誰も気付かないだけ。なぜ気付かないのか。気付きたくないから。なぜ気付きたくないのか。本物が奏でる本当の音楽にはいつもどこか痛さがあって、辛さがあって、重さがあって…つまり、人生そのものだから。歳をとり、死んでいくということをずっと忘れていたいのに、邪魔だから。
今楽しければいい?そもそも、音楽がスッと現れてスッと消えていくものだという発想に誤りがある。音楽ってそんなに刹那的なものじゃない。俺が死んだ後も、あなたが死んだ後も、絶え間なくずっとずっと続いていく。