かつて、桑田公園の真隣に私の育った長屋があった。そして、一年の内で一番楽しみにしていたのが桑田公園の盆踊りだった。
私は、太鼓に興味があって、毎年のように叩いてみたいと思ったけど、何故か踊りたいとは思わなかった。一切踊ることなく、太鼓の音を聴きながら、友達と公園中を走り回っていた。夜に友達と遊べるのは、一年に一度、盆踊りの時だけだったから、異常に楽しくて、今にして思えば完全に「発狂」していた。走り回りながらヨダレを垂らしていたかもしれない。
子供の頃の自分に会うー映画や漫画や小説の世界じゃあるまいし、実際には100%無理な、あり得ない話なのだが、私に関して言えば、桑田公園の盆踊りを筆頭に、伊丹最北端で催される盆踊りに足を運びさえすれば、子供の頃の自分に会えるような気がして、毎年欠かさず足を運んでいる。
子供の頃に戻りたいとは思わない。でも、子供の頃の自分を愛おしく思う気持ちはある。
今よりずっと、面白い奴だったから。