世界に一つだけの顔なので、誰に許しを乞うでもなく、世界に一つだけの生き方ができても良さそうなものです。また、世界には三人だけソックリさんがいるそうなので、世界に三人は似たような生き方をしている人間がいると考えても良さそうです。
昔、私は、とあるライヴハウスで、世界に三人いるとされる自分のソックリさんの内の一人に会ったことがあります。あまりに似ているので、周りの人たちは皆、大爆笑でしたが、当の本人たちは無言で固い握手を交わして、抱き締め合いました。
私は、彼の身体の奥底から「同情するぜまったく」という言葉を受け取りました。彼は彼で、私からの「うるさいよバッタもんが」という言葉を受け取ったと思います。
抱擁を解くと、二人とも不気味な笑顔を浮かべていました。
同じような顔をして。