実は今日もライヴでした。
22年振りにスタジオPISEで、スタジオの店長「先生」一人を前に歌ってきました。
先生は「先生」だけあって、音楽について専門的な見方、聴き方のできる人なので、胃が痛くなるくらい緊張したけど、手を叩いて喜んでもらえたから、めちゃくちゃ嬉しかった。
私は、伊丹の、スタジオPISEが生んだ歌うたいです。
中3の時、アメリカからニルヴァーナが出てきて、グランジブームが巻き起こりました。
ニルヴァーナを皮切りに、パール・ジャム、アリス・イン・チェインズ、ティーンエイジ・ファンクラブ、ホール、ソニック・ユース、ダイナソーJr.、ペイヴメント、セバドー、ポウジーズ、アージ・オーヴァーキル、レモン・ヘッズ、レッド・クロスetc…かっこいいバンドがジャンジャンジャンジャン出てきました。
グランジはパンクをさらに荒くしたような感じで、当時、「ノイズ」という言葉が物凄く意味を持ちました。めちゃくちゃチープでガレージ的なガチャガチャした喧しい音。パンクは破壊衝動が外に向けられていたけど、グランジは内に向けられていたので、どこか陰鬱で破滅的でした。にも関わらず、メロディーの良いバンドが多くて、私は夢中でした。髪の毛を伸ばして、ヨレヨレのTシャツを着て、ダメージジーンズと穴の開いたコンバースを履いて、ギターを踏みつけながら「メタルは死ねっ!」と叫んでました。
グランジブームの波に巻かれて出てきたバンドの中には、まったくもってグランジではないバンドも多々あり、今にして思えばそういうバンドの方が圧倒的に多くて、後に全てをひっくるめて「オルタナティブ・ロック」と呼ぶようになりましたが、中に一組だけ、徹頭徹尾、グランジとしか言いようのないバンドがあって、それがマッドハニーでした。
ゴミのような音。ゴミのような声。「俺に触れ!俺は病気だ!」に代表されるゴミのような歌詞。どこをとってもゴミでしたが、どこを切ってもグランジで、最高でした。
先日、梅田の中古屋でついにこのアルバム(写真)を発見。手に入れました。マッドハニーがグランジの生みの親とも言えるインディーレーベル「SUB POP」から出したもので、ニルヴァーナ登場から2年、高2となっていた私が、知ったかぶりをすることしか能のない頭の悪い金持ちの同級生に取り入って、借りて、取り憑かれたように聴き倒していたアルバムです。
今聴いてもゴミ。今聴いても最高。
CDをコンポにブチ込んで再生ボタンを押すやいなや、スピーカーからあの名曲が飛び出しました。
TOUCH ME ,I’M SICK!
あの頃、不用意に触り過ぎたことによってうつされた病気がいまだに治っていないことに気が付きました。
人間は一生の内に何度か死ぬわけです。で、その都度生まれ変わって、環境もその都度新しいものに更新されるわけです。
ホンマに死んだらアカンけど、環境を変えるためにも、自分の中でリセットボタンを押して死んだことにするのは、その都度めちゃくちゃ辛いけど、長い目で見れば、悪いことではないんじゃないか?と思います。
人間、たまには死なないと若さなんて保てないー妙な言葉だけど、なんだか、そんな気がします。