やはり、介護施設で働いていた時の記憶はどれもこれも強烈で、今もなお、私の脳裏に蛇のように絡み付いている。
私はごく短期間の内に3つの施設を渡り歩いたが、中でも2つ目の施設、阪急京都線正雀駅前にある巨大な施設で関わった、あるおばあさんの記憶が強烈で…。
そのおばあさんは、全身が棒のように硬直していて、全ての間接が動かず、動くのはただ眼球だけだった。そして、さらに、体温の調節が効かなくて、夜になるとよく顔を真っ赤にして熱を出した。たまに一言二言喋ることもあるとのことだったが、私は、その声を一度も聞かなかった。
家人さんは全くと言っていいほど顔を出さなかった。だから、服が、どれもこれもヨレヨレだった。
元気だった頃の写真が、タンスの上に置いてあった。
殺して欲しいんだろうな…と私はいつも思っていた。殺してあげられたらな…といつも思っていた。人間、ただ生きてるだけじゃ駄目なんだな。といつも思っていた。思わせてくれた。