点と線

ほんの些細な一言が、人生に大きな影響を及ぼすことがある。

私の場合、それは中学一年の時であった。
私の友人(彼は私と違って勉強がよくできた)が紙に線を引く際に、定規的なものを一切使わないので、それは一体いかなる了見か?と問うたのであるが、この問いに対する彼の回答が、後々、今日に至るまで、私の考え方、人生に強く影響を及ぼし続けているのである。

彼はこう言ったのである。

「いや、なんていうかその…定規で引く線ってなんか窮屈じゃない?でも、こうやって手で引く線って、なんかようわからんけど、自由な感じするやん」

まさに、私のアナログ主義人生が幕を開けた瞬間であった。

私は今でも、紙に線を引く際、よっぽど業務的なことでない限りは、定規的なものを使用しない。
微妙なズレ、ブレ、「完璧でない」ということに、優しさというか、暖かさというか―そう、自由を感じる。


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