我輩は素っぴんである

私みたいな者でも、過去に僅かながら「恋愛経験」と呼べるものはあるのだが、考えてみれば、過去の恋愛は全て、私のもう一つの人格―ものつくりとしての自分―がものを言ってきたのである。
もし私に、ものつくりとしての顔がなくて、常時ただの和田一憩だったとしたら、私は今だに、一度たりとも、恋愛というものを経験していなかったと思う。

過去の恋愛は、言うなれば、まず茘詩(クリエイティブな私)を前面に押し出して、茘詩を気に入ってもらって、そこから徐々に時間をかけて一憩(素の私)の顔を覗かせていくというものであって、私にとって、この、まるで自らの化けの皮を恐る恐る剥いでいくかのような過程は、いつもかなりの不安を伴うものだったのである。

が、どうやら、今回の恋愛、彼女は今までの恋愛、彼女とは全然違うようである。
今の彼女が見ているのはあくまで一憩であって、茘詩ではない。今の彼女は、私のものつくりとしての顔―茘詩がよくわからないらしい…って言うかあまり興味がないらしい。
私が今まで関わってきた女の人というのは、茘詩に興味はあっても、一憩に興味はないという女の人がほとんどだったのだが、今回ばかりはどうやら違うらしいのである。

ものつくりがものつくりであることを売りにできないというのは、ある意味、美人が美人であることを売りにできないということと同じで、結構不安なのだが、でも、本当は、これって、めちゃくちゃ幸せなことなのかもしれないな…と思っている。

「素っぴんじゃ彼氏に会えないっ!」が口癖だった女の子が、胸を張って、素っぴんで、彼氏に会いに行く姿を想像していただきたい。その姿が、今の私なのである。


3件のコメント

  1. 実は私、今まで、あなたとの話の中で否定したくても、出来なかった言葉があります。
    「化粧の上手な女性は素晴らしい」だったかと思います。 確かに非常に的確で、これ以上無く明確だと思います。
    でもね、すっぴんでどうどうと好きな男性と会える女性、男性の友達とも会える懐の大きさ、全てをさらけ出せる感覚(無論、バカではない)。これほど男心を揺さ振る女性は無いでしょう!
    男性も同じで、すっぴん、素晴らしいじゃないですか!時には趙雲のように無防備な恋愛もいいんじゃないですか?
    素晴らしい恋愛をお祈りいたします。

  2. お疲れ様です!
    素の一憩さんに惚れてくれた彼女さんは、一憩さんの宝物ですね!
    自分を飾らず、ありのままで居られるのは長く付き合っていく上で必要な事だと思います。
    「茘詩さん」に惚れて貰うのも時間の問題ですよね?(笑)

    ・・・「茘」は予め聞いていないと読めませんでした(^^;

  3. 思い通りにならない。人の行動は、想像力を遥かに超える。私の発言も、人を傷付けて考えて一休み、打たれては疲れて立ち上がって強くなるばかり、調子に乗った発言で高くなる鼻を折られ。最後は近寄るなと行動だ。自己嫌悪になる。叫んでやる。『馬鹿野郎』(ノ_・。)

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