抜粋してから語る

これから老人となる人たちほど、老いとつき合うことは難しいのではあるまいか。戦後、自立した個人であることが大切だと教育されてきた世代ほど、自分の「おもらし」とはつき合えないのではないだろうか。老いとは、自立から遠ざかっていく過程だし、個人主義という名の排他主義は介助を受け入れようとはしないだろうから。

―と、今日読んだ本の中から、以上の一文を抜粋してみました。

「自立」という言葉を闇雲に、無条件に信仰して、周りにも自分自身にも、「自立」という言葉を押し付けながら生きているプライドの塊のような人間が、世の中にはたくさん見受けられるけれども、あの人たちが老人になった時、自分で歩行や入浴や排泄ができなくなった時、その状況をどう受け止めるんだろうか。他者からの介助を「ありがとう」と言って素直に受け入れられるんだろうか―という疑問。また、私個人的には、自立から個人主義。個人主義から排他主義という言葉の流れが非常に感慨深かったし、その通りだと思った。

私は、「自立」という言葉には、絶対、落とし穴があると思っている。みんな、あまりに安易に、そしてどういうわけだか横柄な態度で、「自立」という言葉を口にし過ぎている。


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