目を閉じる<八>

「ロールスロイスよりバンドメンバーが欲しい」と言ったのは、ポール・マッカートニー。「これだ!」という手応えのあるバンドを組むのは、エリザベス女王より金持ちで、知名度の塊のようなマッカートニーでも至難の技。極端に言えば、100億円を金の皿の上に積んで、怪しげな中国人に頼んで祈祷し倒してもらったところで、ジョン・レノンは二度と戻らないのである。

バンドが欲しいだけなら、妥協すればなんとかなる。確かに何とかなるだろうけれども、そういうことではない。本当に凄い音を鳴らすバンドというのは、そういうことではない。奇跡の産物でないと意味がない。戦えない。奇跡の産物でないと、不本意極まる敗北感を度々味わうことになる。で、早かれ遅かれ「解散」の二文字が待っている。

ここまで来たら、私が次にやるバンドは本当に凄い音を鳴らさねば意味がないから、奇跡の産物でないと、本当に意味がない。

本当に、全っ然意味がないのだ。


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