変態観測

思えば、18の時から1日たりとも酒を絶ったことがない。途中、気管支炎やインフルエンザを患ったりしたが、その時も酒を絶たなかった。「呑めば治る」くらいに思っていた。

思えば、思い出せないくらい昔から1日たりともロックンロールを絶ったことがない。1日に一度は必ずロックンロールを聴いてきた。生きるということについて何が何だかさっぱりわけがわからなくなって自暴自棄極まっていた時にも、ロックンロールを聴くことを忘れることはなかった。「聴けば治る」くらいに思っていた。

ところで、酒を呑みながら聴くロックンロールとシラフで聴くロックンロールとでは、同じロックンロールでも聴こえ方が全然違うことを皆さんはご存知だろうか。シラフで聴くロックンロールがただの音楽なら、酒を呑みながら聴くロックンロールはただの音楽ではなく、別の次元へと昇華されたもの。言うなれば、細胞レベルにまで浸透する麻薬なのである。これはつまり、人間の感受性にも毛穴的なものがあることを意味している。つまり、酒を呑むことで感受性の毛穴が開き、そこにロックンロールが怒涛の如くに流れ込むということ。気持ちいいに決まっている。これは、「軟膏は入浴後に塗ると効果が増す」というのと同じ理屈である。では、この麻薬をやり過ぎるとどうなるのか。やり過ぎることをやり続けた人間の末路はいかなるものなのか。私が我が身をもって皆さんの前に提示いたしましょう。でも、たぶん、きっと、そんなに悪いものにはならないーというのが私の希望的観測である。


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