ジャズはいらない

伊丹でライヴがしたい。伊丹で生まれ育った私にとって、これは、叶いそうで叶わない小さいようで小さくない夢である。

伊丹にも「ライヴハウス」と呼べそうな店が2つほどあるのは知っている。知ってはいるが、一つはジャズ寄りの店で、もう一つに至っては完全にジャズに特化された店である。

何でやねんと思う。何でよりによってジャズやねんと思う。

ジャズは非常に閉鎖的なジャンルなので、他のジャンルを一切受け入れない。ロックの店でジャズを演ることはできても、ジャズの店でロックを演ることはできない。ロックが好きな人は、ジャンルを問わず、自分が気に入った音楽のことを「ロック」と呼ぶが、ジャズが好きな人はジャズだけをジャズと呼ぶ。まったくもって、ジャズというやつは、全っ然人気あらへんくせにプライドだけ高くて困る。だいたい、伊丹やで、伊丹。誰が聴くねん、ジャズみたいなもん。

伊丹で大々的に音楽をやろうと思えば、ツテやコネがないと話にならない。伊丹にも音楽フェス的なものはあるが、やはり、ツテやコネがないと話にならない上に、年齢制限やなんかがあってどうにもならない。で、「ライヴハウスでやるか」ってんで店を探してみてもジャズ寄りの店しかない。万事休してライヴ・バーへ行くと「ただお酒を飲みに来ておられるお客様の迷惑になると困るのでギターの音を絞ってください」などと言われる。それなら始めからライヴ・バーなどやるな、あほんだら。かくして、伊丹の才能あるアーティストは皆、外へ出て行く。

伊丹でライヴがしたい。したいのだが、ツテとコネと年齢制限とただ酒を飲みたいだけの客とジャズが邪魔をしてどうにもならない。


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