強者どもが夢の跡~上司・社員編~

浦山さん ☆☆☆
私が配属された部門「成形」(部門は大きく分けて他に蒸着と組立があった)の主任。あまりに目つきが悪いので、初めて会った時は完全に「終わった…」と思ったが、実際は非常に物静かな人で、特技は立ったまま寝ることだった。派遣切りで同僚が次々と姿を消していく中、とうとう私の番がきて最後の出勤日。帰ろうとエレベーターに乗ったらエレベーターの所まで走ってきて「本当に申し訳ないと思ってる」と言ってくれた人。

姫野さん ☆☆
浦山さんより地位は高かったが人望は低かった。トミーズ健を太らせたような風貌をしており、なぜかよく左足を軸にくるくると回転していた。

三好さん ☆
どこにでもいそうな人畜無害な天パのおっさんだが、裏では相当ないじられキャラだった。皆こぞって三好さんを題材に笑い話を創作した。「三好さんってな、毎日仕事終わりにコンビニでアンパン買ってな、コンビニ出たらそっこうアンパンゴミ箱に投げ捨ててな、家帰ったら「またボクのアンパンないやんかっ!」言うて泣くらしいで」というキチガイ染みた話を作ったのは私だった。

佐久間さん ☆
サッカー日本代表のキャプテン長谷部に似たシュッとした男前。私より5つくらい年下で、成形のリーダーだった。最初は男前特有のいけすかない感じがあって苦手で、ほとんど口をきかなかったが、1年くらい経ったあたりから自然と喋るようになって、最終的な印象はええ奴。

福岡くん ☆☆
高校を出たばかりの若い社員で、ラグビーをやっていたこともあって身体がやたらとゴツかった。最初は「俺は社員だ」的に態度がデカくて嫌いだったが、佐久間さん同様、日を追うごとに親しくなって、最終的には恋愛相談を受けるまでになった。天王寺の遊郭で10万払ってめちゃくちゃな美人を紹介してもらって童貞を捧げた話は何度聞いても楽しかったが、「和田さん、やっぱ風俗ですよ!」とか言うてる奴の恋愛相談を受ける身にもなれと思った。

長野さん ☆
女が数えるほどしかいない野郎ばかりの職場に於いて、成形の隣りの「検査」で働く長野さんは割と人気があった。作業中は皆、目の部分だけあいた防塵服を着ていたのだが、目の部分だけだと、長野さんはかなりの美人に見えた。目の周りが綺麗な人は顔立ちそのものが綺麗なんだと、工場で働くまでは信じていた。

永田さん ☆☆☆
事務所のOLさんで、中川翔子をさらに可愛くしたような顔だったが、首から下が黒沢かずこだった。

松浦さん ☆
顔は嵐の櫻井翔に似た男前だったが、とても背が低くてちょこまかと動き回る姿はチョロQを彷彿とさせた。2年半、同じ現場で働いてはいたが、私とは生きる世界が根本的に違うみたいで、ほとんど口をきいたことがない。


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