私の舌とあなたの耳

私は馬鹿舌なので、貧乏舌なので、不味い物も不味いと気付かず、美味い美味いと言って食う。だから、「本当に美味いもの」を食ったところで、それが「本当に」美味いのかどうかがさっぱりわからず、有り難みがちっとも湧かない。 これと...

ライチの呟き

家庭裁判所…か。 俺は「出頭」するのか? まるで犯罪者だな。気分は完全に犯罪者だ。 ひとつのものを、ふたりの大人が、一緒になって壊したのに、片や犯罪者で、片や被害者か? おかしいだろう…。 ま、そんなくだらない話は置いと...

七夕の残骸、そして大人…

近所の公園の入口脇に置いてあった。 こんなものを子供の目につく所に置いといていいのか? アカン…絶対にアカンと思う。 「パパはおとな?」 「違うよ。うちで大人なんはママだけやで。」 娘に言い聞かせといて正解だったと思う。

ファミコン

母親と仲良くすることをマザコンだと言い、父親と仲良くすることをファザコンだと言い、母親や父親を邪険に扱うことを自立だと思っているような人間が親になって、ある日、我が子に向かってこう言うのである。 親孝行しなさい。 まあ、...

ユダを憐れむ歌〈後編〉

ナメられてきた―ということに気付いた瞬間から、私の中の、怒りの感情を瞬時にして圧し殺してきた機能が全く作動しなくなった。あれだけ俊敏かつ的確だったものが、ある日突然、うんともすんとも言わなくなった。 トンネルを抜けて、最...