私の舌とあなたの耳

私は馬鹿舌なので、貧乏舌なので、不味い物も不味いと気付かず、美味い美味いと言って食う。だから、「本当に美味いもの」を食ったところで、それが「本当に」美味いのかどうかがさっぱりわからず、有り難みがちっとも湧かない。

これと同じ理屈で、その辺の一般ピーポーは皆、馬鹿耳で、貧乏耳だと思う。くだらない音楽のくだらないことに気付かず、良か良かと言って聴いている。だから、「本当に良い音楽」を聴いたところで、それが「本当に」良いのかどうかがさっぱりわからず、有り難みがちっとも湧かないんだろう。

本物は本物で、ゴミはゴミだ。歴然とした違いがある。この違いがわからない人間に限って、わからないことを認めたくなくて、「そんなことは人それぞれ、趣味の問題」などと言うが、普段、ありとあらゆる事柄について、ありとあらゆる局面に於いて、我の意見や考え方をゴリ押しして、他人と自分との違いを一切認めようとしないクセに、我のくだらないプライドに関わるような時にだけ都合よく、「人それぞれ」なんて言葉を使うんじゃねえよ!と思う。断言するが、本物は本物で、ゴミはゴミだ。

皆、本当に、呆れるくらいくだらない音楽を聴いて喜んでいる。それは、私が不味い物を食って、「美味い美味い」と言って喜んでいるのと同じことだ。

私のような人間が相手では、料理人も作り甲斐がないというものだろう。同様に、あなたのような人間が相手では、アーティストも、創り甲斐がないというものだ。


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