映像裏話⑩WHY?

これは「映像裏話」ではなく「楽曲裏話」だ。 27歳の時だったと思う。『モナリザ』という曲を書いた。歌い出しの詩はこう。 「モナリザを気取るしか能がない僕の女神/この上なく美しくて無慈悲」 女神とは音楽のことで、当時俺の中...

映像裏話⑨赤い雨

10曲中最も俺らしく、最もUK色の強い曲。 このメロディーが浮かんだ時は本当に嬉しかった。「出たあ!」と一人、スタジオで飛び跳ねた。元々、得意とする曲調なのだが、過去にこの曲ほど俺自身の心の琴線に触れたものはない。 普通...

映像裏話⑧雫

曲ができた時、まるで他人事のように思うことがある。 これ、何ですか?と。 しばらくして意味を考え始める。作っている時は「作っている」という意識すらないから、意味が後付けになる。 歌うたびに想いが変わる。ある時は物言わぬ人...

映像裏話⑦orange

実はめちゃくちゃ気に入っている曲。お気に入りの曲を10曲選べと言われたら間違いなく入る。 スタジオに入ると、ライブで演る予定があってもなくても、この曲だけは絶対歌う。目の前に大勢のお客さんがいると想定して、ポールマッカー...

映像裏話⑥グラサージュ

何をやってもうまくいかず、その都度、待ってましたとばかり馬鹿にされて、生きた心地がするのは発泡酒片手に商店街を行ったり来たりしている時だけ…そんな、あの時の自分に投げ掛けてやりたい言葉が「誰が何と言おうが俺は君のことが好...

映像裏話④SURFBLUE

水のイメージにしっくりくる歌い出しのコードを見つけたら、見つけた時点で既に一曲丸ごとできていたというマジック。生みの苦しみみたいなものをまるで感じなかった。 昔、親父が「天才というのは頭の中にあるイメージを一瞬で指先に持...

映像裏話③紙吹雪舞う

19才の時、初めて彼女ができたのだが、僅か1年半で別れた。初めて味わう失恋の痛手は、最初、さほどでもなかったのだが、日を追うごとに耐え難いものになり、結構泣いた。が、それとは別にソングライターの性(さが)というものがあっ...

映像裏話②FLOWERS IN THE DIRT

ソロで活動を再開し、ライブバーに出入りするようになってまず驚いたのは、他演者達のダサさであった。どいつもこいつも四畳半フォークとサザンしか知らないように思え、その絶望的な勉強不足に怒りすら覚えた。 彼らのスタイルは「弾き...

映像裏話①バタフライ

ライブができなくなって、俺と同じような立場にあるアーティスト達が挙って動画配信し始めた。良いことだと思う。なぜ良いことだと思うのかと言うと、単純に俺がミュージックビデオを観るのが好きだから。昔から、好きなアーティストにつ...