戦場放棄

「アタシからは攻めないよっ!アンタが攻めておいでっ!」と声高らかに言っておきながら、いざ攻めてみると、門を固く閉ざしてウンともスンとも言わんから、「約束が違うじゃねぇか馬鹿野郎!」と叫ぶと、今度は、「壁に梯子を掛けてよじ登って攻めておいでっ!」などと抜かしよるから、「調子に乗るのもエエ加減にせえ!」となって、何だか猛烈に面倒臭くなって、「やってられるかアホンダラ!」と喚いて撤退する―というのを、恋愛という名の戦場に於いて、何度繰り返してきたことか。

戦が戦にならん。くだらない。もう、本当に、疲れたよ…。


沈思黙考2

立場によって、他人がやたらと大きく見えることがあるが、この「他人」が恋愛対象であった場合、その恋愛は成就しないのではないかと、最近、思う。

「好きなんだから大きく見えて当然だろう。」という声もあるかもしらんが、それはたぶん、違う。

成就する恋に於いては、不思議と、相手がそんなに大きくは見えないものである。これはつまり、言い換えれば、成就する恋に於いては、相手よりも幾分、自分のことの方が大きく見える―ということなのかもしれない。


分相応

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ストーンズの「ス」の字も知らんような人間が、ストーンズのあの舌のデザインの服を着てやがるから、私のように子供の頃からストーンズのロックンロールを愛してきた人間が、恥ずかしくて、ストーンズの服を着れんというのはいかなる禍事か!という怒りがいよいよもって沸点に達して、今日、私は、ストーンズのパーカーと長袖のシャツを、厳選の末、購入した。

似合う。当たり前だ。だって俺はストーンズの音楽をめちゃくちゃよく知ってるし、死ぬほど好きなんだから。

この服さえ着てりゃ、俺は、ミックやキースと常に一緒だ。


絶滅危惧種

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昨日、職場の先輩が「和田さん、ネットでかなりロックな魚見つけたんですけど見ます?」と言って、この魚の写真を見せてくれたのである。

「?」私が首をひねりつつ、「一体、この魚のどこがどうロックなんですか?」と尋ねると、先輩が「写真の下の方をよく見てください。」と言ったので、目を凝らして、先輩が手にしているスマホの画面の下の方を見てみたところ、非常に小さな字でこう書いてあった。

カナリーロックフィッシュ

大笑いの後、私は言った。「こいつ、水の流れに乗るということを知らんでしょうな。意地でも逆らいよる。あと、群れるということも絶対にせんでしょうし、餌は自分よりデカイやつしか狙わんでしょう。」そして、先輩がこう付け加えた。「間違いなく一年以内に絶滅するでしょうね。」


沈思黙考

私に言わせれば、クリスマスに一人でも何とも思わない人の剛胆は、雷の轟く中を平然と歩くことのできる人の剛胆とよく似ている。また、危機感のない独り身の「クリスマスなんて関係ない」という発言と、致命的KYの「雷なんて怖くない」という発言と、微塵もモテない思春期中学生の「俺、エロ本、余裕で買える」という発言は、根っこの部分にあるものが同じであるように思う。


意志薄弱王

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一昨日私は仕事の後、真っ直ぐ家には帰らず、阪急伊丹界隈までテクテク歩いていき、この、伊丹市民に正しい餃子の味を教えたと言っても過言ではない名店『大阪王』に立ち寄って、餃子を2人前食ったのである。

一時期、我らが大阪王は、王であるにも関わらず、確実に味が落ちていた。何だか妙に甘くなってしまっていたのである。しかし先日、大阪王の今昔を熟知している職場の先輩から「大阪王、復活してるで!」とのたれ込みを受けて、「そ〜れは食わねば!」と思い、2人前食ったら完全に復活していたのである。

ビールは我慢しようと思っていた。また、我慢できると思っていた。餃子とビール―最高の相性ではあるが、大阪王で取り扱っているビールは昔からサントリーモルツで、私はサントリーモルツが好きではないから、いかなビール好きの私とはいえ我慢できると思っていたのだが全っ然我慢できなかった。


シャンプー1/5

出勤前の不安ったらなかったが、結論から申し上げると、坊主にして正解であった。大正解であった。

生まれてこの方、髪型を変えてここまで無邪気な楽しいリアクションを爆発的に受けたことはないし、また、めちゃくちゃ笑われつつ、めちゃくちゃイケてると言われたのも、生まれて初めての経験である。

男はやはり、潔さが肝要である。坊主頭は潔さの象徴。潔い男の坊主頭が、潔い男をさらに潔くするのである―っていうか、坊主頭って、本当に楽である。