完成の予感

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本日、レコーディング開始早々、またもや、月下美人が壊れた…。でも、今回はそれを逆手にとって、スタジオに2本ある貸し出し用ギターの特性を活かして、レコーディングを続行。たぶん、良いものが録れた。

『Ⅱ』も『Ⅰ』同様、3曲入りだが、結果的に、曲ごとに違うギターを使用することになった。1曲目は月下美人。2曲目、3曲目はスタジオのモーリスとヤマハ…といった具合。

私自身、まだ、完成したであろう音を聴いたわけではないので何とも言えないが、手応えは感じております。


ある老人

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つい先程、スタジオへ向かうバスの中で、見知らぬお爺さんが話しかけてきた。

「アンタ、音楽やってまんのんか?ギターやってまんのんか?アンタなんかはやっぱり、横文字ばっかりうとてまんのんか?え?日本語?でも、歌詞覚えんのん大変でっしゃろ?歌詞覚えんのん大変な割には銭にならしまへんのでっしゃろ?」

私と同じバス停で乗車したお爺さん。どう見ても足腰のしっかりしたお爺さんだったのだが、言いたいことを言い終えてスッキリしたのか、「北島も売れる前は…」と捨て台詞を残して、僅か一駅でバスを降りた。

北島は売れる前はどうだったのだろう。


在庫確認

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友人、知人、かつての同僚、先輩、バンド仲間etc…最近、外出するたびに必ず一人は見覚えのある顔に出くわす。その頻度たるや凄まじいものがある。なので、数日前から、外出する際には、行き先を問わず、いつ誰に出くわしても良いように、『Ⅰ』を1枚、カバンに忍ばせておくようになった。

かくして、ライヴ会場での販売開始を待たずして、特に何の特典もない『Ⅰ』初回盤の在庫は「6」となった。


ローソンにて

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「おおっ!めちゃめちゃエエ組み合わせやん!」と思ってシャッターを切った。

グレイプヴァインが好きな人はトライセラトップスも好きやろうし、トライセラトップスが好きな人はグレイプヴァインも好きやろうし。

グレイプヴァインなら『光について』
トライセラトップスなら『if』
いずれも私のカラオケの18番。
大好きな曲です。


夢の一本

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ソロに転向してからというもの、ギターに対する興味が飛躍的に向上した。バンドでエレキばかり弾いていた頃は、いつバンドマン失格の烙印を押されてもおかしくないくらい、ギターに興味がなかったのだが、今は寝ても覚めてもギター、ギター、ギター、ギターである。

アコースティック・ギター。略して「アコギ」

アコギって、一度ハマったが最期、抜けるに抜けられない魅力がある。それはそれはエレキの比ではない。でも、ギターをルックス最優先に選ぶ私にとって、アコギのルックスはエレキに比べると個性に乏しいように思う。どれもこれも同じような色・形をしている。なので、楽器屋に行くたび、自然とこのギター(写真)が私の目を引く。

オレンジ色のアコギなんてなかなかない。そして、月下美人同様、肩の部分が三日月状に尖っているデザインもイケてるし、トーンをコントロールするツマミも私の好きな感じに配置されている。そこへもってきて、メーカーはギブソン。音も相当よろしかろうと思う。が、このギター、残念なことに奥田民生モデルなのである。奥田民生は嫌いじゃない。どちらかというと好きなアーティストだけど、奥田民生モデルのギターはいらない。試奏したいとも思わない。残念。

いつか私も、自分モデルのギターをオーダーメイドしたいなあと思う。基調は黒で、そこに赤と白のラインが蛇のように艶かしく絡み合っていて、否が応でも闘争心が湧く…そんな、アコギにあるまじきデザインのやつを作りたい。肩の部分はもちろん三日月で。


月下美人、壊れる

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じゃみせん呼ばわりされたのがよほどショックだったのか、月下美人が壊れた。

スタジオに到着し、月下美人をアンプに繋ぐと、「ズボフ、ズボボボボ、ズボフ…」と妙な音がする。最初はシールドが断線してるんだろうと思ったのだが違う。じゃ、アンプか?「すいません。アンプがズボフズボフいうんですけど…」スタジオのおっちゃんを呼ぶと、「ズボフ?」と呟いておっちゃん登場。スタジオの貸し出し用ギターをアンプに繋いだところ、ズボフズボフいわない。あれ?そこでもう一度、月下美人をアンプに繋いでみたらズボフ、ズボフ、ズボボボボ…。「お、お前かあ!」と叫ぶ私の腕の中、しまいにはうんともすんとも言わなくなった月下美人。

「…ひょっとして死にました?」と私。
「入院ですな」とおっちゃん。

かくして、『Ⅱ』のレコーディングは延期となった。


傷心~つっこめなくて~

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昨日、スタジオへ向かうべくギターを背負って伊丹の街を歩いていると、後ろから一台のチャリンコがのろのろと近づいてきた。

チャリンコを運転する痩せたオヤジの両脚に挟まれるようにして、小さな男の子が座っており、私が背負っている黒い塊を指差して「あれ何?」と言った。オヤジは実に面倒臭そうにこう答えた。

「…じゃみせんや」

さすがに初対面の人に「違うわ!」とは言えなかった。


(棘のない)バラが咲いた

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中島らもが、最後の著書『なれずもの』の中でこんな事を言っている。

「フォークって、元々はすごく面白い音楽だったんだけど、日本に入ってきた途端、『バラが咲いた』になっちゃって駄目になった」

なるほど…と思った。

今でも、日本人がアコギ一本抱えて歌うと、基本的にどれもこれも『バラが咲いた』だと思う。

バラの花は好きだし、たくさん咲かせてくれるのは嬉しいけど、たまにはちゃんと棘のある薔薇を咲かせてくれと思う。