追憶

娘を保育園まで送っていく途中に団地があった。

団地と団地の間にはロープが渡してあり、そのロープに大きな鯉のぼりがぶら下がっていた。

私は、娘を保育園に預けると、その足で近くのコンビニへ向かい、ビールを買って、裏手に回り、人目に付かないことを確認して、飲んだ。

それから私は、人目を忍ぶようにして後ろめたく帰途に着いたが、その道はちょうど保育園の裏手を抜けるルートで、保育園の裏手には、公園があった。

眩しいほどの晴天の中、その公園から子供達の歓声が聞こえた。ふと見ると、私の娘が、一際目立つ派手なアップリケを付けた赤い帽子を被って、保育園の他の園児らと、かけっこをしていた。

お腹を突き出して懸命に走っていたが、どう見てもビリだった。

私は、その光景を木陰から見つめていた。

帰宅後、朝食に使った食器を洗いながら、涙がこぼれた。


1件のコメント

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。