昨日、旧友が遊びに来て、酒を酌み交わしながら、妄想話に花を咲かせた。
まず、女性には、美人系と可愛い系があるが、では、可愛い系の日本一は誰だと思うかをお互いに述べあった。そうして、私は中川翔子を挙げ、彼は宮崎あおいを挙げて、ここから、もし私の彼女が中川翔子で、彼の彼女が宮崎あおいだったら…という一大妄想馬鹿話大会へと進展していったのである。
話はこうである。私が中川翔子と一緒に家の裏の川沿いを散歩していると、前から宮崎あおいを連れた彼がやって来る。で、私が「よう。」と声を掛けると、彼も「おう。」と呼応して、川の向こう側のテニスコートの前にあるベンチの所まで行き、4人で腰を掛ける。話題は、その日、近所の団地の麓の公園で行われる盆踊り大会についてで、私が彼に、「行く?」と尋ねると、彼が、「もちろん行くよ。あおい、浴衣買ったし。」と答えて、私も負けじと、「そうなんや。翔子も浴衣買ったもんな。」と言う。と私の隣で、中川翔子が笑顔で、「うん。」と言って頷く。この会話の間、道行く野郎どもはどいつもこいつも、中川翔子と宮崎あおいをチラ見していく。私と彼は心の中で勝っている。
日が暮れて、盆踊り大会が始まる。私の隣には浴衣を着た中川翔子がおり、彼の隣には浴衣を着た宮崎あおいがいる。いずれも食っちまいたいほどの可愛さである。しかし、私は翔子の方が可愛いと思っている。彼は、いやいや、俺のあおいの方が断然可愛いぜと思っている。水風船釣りの店が出ている。私は水風船を一つ手に入れて、それをあえて我の彼女である中川翔子にではなく、彼の彼女である宮崎あおいにあげる。宮崎あおいは水風船を手にキョトンとしている。彼はそのキョトンに見入っている。何て可愛いんだろう…と思っている。私の隣では、中川翔子がムスッとしている。私はそのムスッに見入っている。何て可愛いんだろう…と思っている。盆踊り大会が終わって家に帰ると、私はまたぞろ余計なことを言う。「いやぁ、今夜のあおいちゃんは可愛かったねえ〜。」最低である。中川翔子がまたまたムスッとする。そのムスッが堪らない…と、ここで彼が話を遮ってこう言った。「いっけちゃん、それはやり過ぎやで。しょこたん、本気で怒りよんで。」「そうかな。」「そうやって。俺なんか家帰ったらもう、「あおいが一番や!」としか言わへんで。」「アハハハハ
!」「アハハハハ!」大爆笑。アホである。
かくして、私にも彼にも、彼女がいない…。