遅れてきた怪談

私は大阪時代、私の奥さんの事を非常に恐れていたのである。ビビっていたのである。そして、或る日、まだそこそこ仲の良かった頃、私は日頃の想いと皮肉を込めて、奥さんにこう言ったのである。

「あんたは信長やね。で、俺は家康やわ」

奥さんを『鳴かぬなら、殺してしまえホトトギス』に例えたことは、私にとって、結構な皮肉だったのである。そして、自分自身を『鳴かぬなら、鳴くまで待とうホトトギス』に例えたことは、純粋に事実を述べたまでのことだったのだが…

その日の夜、布団の上にに横になって、何気なく携帯をいじっていた私は、ゾッ!とした。なんと、奥さんの誕生日と信長の誕生日が同じで、私と家康の誕生日が同じだったのである!

これは、完全なる実話である。


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