10年ほど前のことです。私は、一人の女性に猛烈な恋をしました。彼女は当時、夫のある身でした。が、私は猛烈にアタックしました。好き過ぎて好き過ぎて、理性が完全に吹っ飛んでました。
彼女が働いている事務所が心斎橋にありました。私は当時、アルファベッツというバンドを組んでおりまして、その関係で彼女と知り合って、この事務所にメンバーと一緒に出入りするようになりました。
或る大雨の日―私と彼女は、事務所で酔っ払って寝ているバンドメンバーを起こさないようにこっそりとビルの屋上に出て、色々と話をしました。そして、気が付くと、屋上の小さな屋根の下で寝転がって、抱き合って、キスしてました。横なぶりの大雨だったので、雨水はすぐに屋根の下に浸水してきましたが、そんなもの、お構い無しでした。
彼女は後に私の奥さんとなりました。そして今は、別々の人生を歩んでいます。
どうしても、あの時の恋と比較してしまっている自分がいます。あの時のあの恋と比べると、最近の恋は全て30点以下です。
私自身が、相手が、全っ然狂えていないのが、わかり過ぎるくらいわかってしまうんです。
恋は狂ってナンボです。狂えていない恋は恋ではない。「愛」とでも呼んで、納得しておればよろしい。