囁きに揺れて

自分の中に、強硬姿勢を崩そうとしない自分と、常時怖じ気付いてばかりいる自分がいる。

強硬姿勢の自分は常に上の空で、絶えず無我夢中でいたいと思っている。我を忘れている状態で、夢の中に生きたいと思っている。一方、怖じ気付いてばかりいる自分は防衛本能の塊で、足元の状態をネタネタと確認しながら、とにかく自分を守ろう守ろうとしている。

どちらの声も主人たる私を思ってのことなので、有難いっちゃ有難いんだけど、どういうわけだか私は、強硬姿勢の自分の声を「天使の囁き」と呼んで、怖じ気付いてばかりいる自分の声を「悪魔の囁き」と呼んでいる。

天使が「虎穴に入らずんば虎児を得ず」と囁く隣で、悪魔が「飛んで火にいる夏の虫」と囁いている。


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