私は、笑いを研究するタイプの男である。子供の頃からそうである。
テレビを見ていて、芸人さんが絶妙なタイミングで何かを言って、めちゃくちゃ面白いと思っていても、「アーハッハッハッ!」とあからさまに笑うということはまずなく、笑いを噛み締めて、しみじみ「うまいなあ…」と感心してしまうタイプの、どちらかというとそっち寄りの人間である。
そんな私が、うまいなあとは思うし、頭切れるなあとも思うし、芸人さんたちの間で非常に評価が高いというのも素直に頷けるのだが、「アカン、ゴメン、俺、苦手」と言わざるを得ない芸人さんが約一名いる。
伊集院光である。
あの、自分の言わんとしていることがめちゃくちゃ面白くて、面白いに違いなくて、それについて、我ながら笑いを堪えながら喋っているといった感じの、あのムーッとした感じが苦手なのである。
生まれてこの方、あの喋り方をする奴で面白い奴を見たことがない。にも関わらずうまい―という違和感が個人的に許せないんだと思う。
もう一度言うが、あの、自分の発言、発想に対して、笑いを堪えながら喋ってる感じが、俺は、光は、アカン。ウザい。と思うのは俺だけ?