自虐的笑いの巨匠

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明後日、6月19日は太宰治の誕生日。なので、早速今日の新聞に特集記事が組まれていた。見出しに大きく「ダメ男小説 ユーモア込めて」とある。そして、記事の左端には「己を見つめ、笑い飛ばす」とある。

私が「太宰治が好き」と言うたび、お約束のように眉をひそめる人がいる。太宰ファンとしては、ダザイストとしては、このお約束リアクションに対応するのが非常に面倒臭い。もうええわ!と思う。なぜなら、そうやって「太宰治」と聞いてベタに眉をひそめる人の大半は、太宰さんの作品をまともに読んだことのない人たちで、太宰さんのことを「自殺願望炸裂ドM野郎」という情けないイメージでしか捉えていない人たちだからだ。

太宰治の本領はユーモアにあり、笑いにある。太宰さんの場合、彼の存在と人生そのものがユーモアと笑いの塊なので、彼の作品をガッツリ読み込んだ後では、彼自身の自殺に限って言えば、自殺であるにも関わらず、何故か結構笑えてしまうのである。

自伝的要素の強いダメ男小説を書き続けた挙句、ベタに自殺。それも4度目でようやく成功。これっぽっちも哀しくない。むしろ、笑える。だいたい、私に言わせれば、彼の遺した名言「生まれて、すみません」は、あれは完全に一発ギャグだ。


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