ランニング・プレイ

そういえば昨日、家の裏手にある川の堤防を散歩しておる際に、非常に奇妙な光景に出くわしたので報告しておく。

私が歩いていると前方から、Tシャツに短パンという極めてベタなランニングスタイルの男女が並走してきた。女はつきたてではない餅のような顔をしており、男はタカアンドトシのトシに良く似た丸坊主の男であったのだか、不自然なことに、トシの首が右を向いたまま微動だにしないのである。これを見て不審に思った私が彼の視線の先を見てみると、そこにあったのは、つきたてではない餅の揺れる乳だったのである。トシは走りながら、充血した眼球をむき出しにして、並走するつきたてではない餅の揺れる乳をガン見していたのである。当然ながら全く前を見ていない。したがって、そのままいけば間違いなく私にぶつかる。彼は今、完全に性欲に支配されている。だが私も男。たまに性欲に支配されるので、死なばもろともとばかり、あえて衝突を回避せず、男らしく前進することにしたのである。が、私のそんな思惑を察知したのか、トシは首を右に向けたまま急に右へハンドルを切った。何の前触れもなく、いきなりトシの体当たりを食らう格好となったつきたてではない餅は小さく「あふっ」と言って、軽く吹き飛ばされて、フェンスに激突しかけたのであるが、平然とした顔でトシとともに私の横を駆け抜けていったのである。

今にして思えば、あれは「プレイ」だったのかもしれない。私のような障害物が現れることを想定した、あの二人の「プレイ」だったのかもしれない。もしまた、あの二人に出くわすことがあったとして、今度はつきたてではない餅がトシの股間をガン見していたら、全力でどついてやろうと思っている。


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